それだけのはなしだよ ページ22
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会いたい。
そう送ったのは俺だった。
10月7日。世界への切符を手に入れた。恥も外聞もなくコートの上で泣いてしまって、帰り道もずっと収まらない熱と流してなくなった水分で体の内側がずっと乾いていた。そんな時、震えた携帯に表示された名前をみて我慢できなくなった。今日くらいは、我慢、しなくていいんじゃないか。
家まで行くから待っててって送って、そのまま走ってAの家に向かう。たぶん、電車を使っていたらあと10分は早く着いていたけど、どうしても自分の足で会いに行きたかった。
見覚えのある道を走り抜けて、最後の曲がり角を曲がったら、そこには愛おしくてたまらない君がいた。
「らん！」
「A！」
どちらともなく手を伸ばして、ぎゅっと抱きしめあう。Aの小さな体をどこも逃したくなくて、全部食べるみたいにして抱きしめた。「らん、くるしいよ」って笑いの滲んだ声。
「俺、勝った」
「うん、みてた」
ぐす、と小さく聞こえた音。ぐっと体を押されてAが離れようとしているのがわかったけど、素直に離してやる気なんて起きなくて、その抵抗を抑え込む。
「今、離したくない」
「…ほんなら、ちょっと緩めて」
やだ。って、本当は言いたかったけど、流石にわがまますぎるか。離すのが惜しくて仕方ないAの体を自分から少しだけ離してやる。空いた隙間で顔を上げたAの目に張った水の膜が夜の空気を含んで透き通るのが、この世の何よりも綺麗だと思った。
「おめでとう、信じてた」
それだけ、それだけなのになぜか自分の人生の全てが救われた気がして、一度収まったはずの涙が性懲りもなく目頭に込み上げる。
「なんで、Aが泣いとるん」
「らんだって泣いてるやん」
「Aが泣くから」
「やって、うれしくて」
白い頬にまんまるの涙をぽろぽろと転がすAを見たら、どうしても衝動が抑えられなくて、その顔を両手で掬い上げるみたいにキスをした。Aの体が少し固くなって、でも応えるみたいに背伸びをするから。そんなことされたら、もうとまれんよ。Aの唇は小さくてくっつけると柔らかく形を変える。何度か繰り返した後、離れて見たAの頬はふんわり赤く蒸気していて、いつもはきゅっと結ばれている唇は酸素を取り込もうと丸くなっていた。
その状態にしたのが自分だと思うと、もうたまらなくて、これからもそれをするのは自分が良くて、なによりもAに、俺のになってほしくて。
「俺の、彼女になりませんか」
fin.
終わり
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純恋(プロフ) - いつも楽しみに見てます！藍くんとちょっと喧嘩しちゃうとか見てみたいです！ (11月9日 18時) (
レス) @page17 id: 43094004e0 (このIDを非表示/違反報告)
つきみ - バレーメンバーと天使ちゃんでご飯食べに行くとか、藍と天使ちゃんの熱愛報道出ちゃうとか、2人でお泊まりするとかはどーですか？？ (10月24日 10時) (レス) @page17 id: df79dac836 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (10月20日 19時) (レス) id: aef14e4d34 (このIDを非表示/違反報告)
gkm(プロフ) - 小川くんのお話沢山みたいです><♡ (10月14日 2時) (レス) @page16 id: ea76fb8e35 (このIDを非表示/違反報告)
味噌汁 - 更新楽しみにしてます！リクエストなんですが、浅草などの観光地デート、ディズニーデート、忘れ物した藍くんに届けに行く天使ちゃん(他の選手にちやほやされてちょっと嫉妬)とかいかがですか？もし宜しければお願いします！ (10月13日 1時) (レス) @page14 id: a074077a7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：成田 | 作成日時：2023年10月10日 18時
