あまい短編集 (ページ10)

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遅い夜は１柳田将洋ページ10

「今日ご飯食べて帰るから遅くなる。」

夕方の６時頃にマサからの電話がかかってきた。

電話の後ろでは何だかわちゃわちゃしてたからきっとチームの人達だろう...と推測して「分かった、気をつけて帰ってきてね」と伝えると「多分遅くなるから先寝てて」と言うとそのまま電話を切ったマサ。

相変わらずだな～としみじみ思いながら私一人分の夕食を用意した。

そして現在夜の11時過ぎ。

先に寝てて、と言われたものの何だか寂しくて１人暗い部屋でテレビをボーッと観ているたけど全く内容が頭に入ってこない。

「はぁ... 」と１つため息をついてテレビを消し寝室に行き冷たいベッドに潜り込んだ。

「マサ～...早く帰ってきてよ～... 」

いつもはマサと一緒にくっついて寝るからそう広くも感じないセミダブルのベッド。

だけど今はマサがいないからとても広く感じる。

いつもマサが使ってる枕に顔を埋めて目を閉じたその時玄関からガチャガチャと音がした。

私が寝てると思い込んでるマサは灯りもつけずに廊下を歩き寝室の扉を開けた。

私の髪に優しく触れて「ただいま」と小さな声でささやいてそのままシャワーを浴びに行った。

このまま狸寝入りをするか...

それとも起きるか...

少し迷ったけど狸寝入りをしてみるのも面白そうなのでこのまま今の状態を続行することにした。

ザーっとシャワーの音とともにマサの鼻歌が聴こえてくる。

その心地よい鼻歌を聴いていたらだんだんうとうとしてきていつの間にか眠ってしまっていた。