あまい短編集 (ページ5)

今日:3 hit、昨日:12 hit、合計:78,645 hit

慣れっこ２柳田将洋ページ5

柳田将洋 side

───────────────────

「まぁまぁ落ち着きなよ」

Aは相変わらずにこにこしながら俺を宥める。
何だかいつもAのペースにのせられてる気がする...

「マサが忘れっぽいのなんて今更じゃん？そりゃね出来れば直して欲しいと思うよ？バレーの試合にシューズ忘れたりしたら洒落にならないし... 」

「うん... 」

「そりゃ最初は多少イラついたけどもう慣れちゃったし忘れ物しないマサとかそんなのマサじゃないし。」

「そうだけどさ...、よく俺なんかに愛想つかさないよね... 」

「マサがいつも遅くまで練習してしんどいの私知ってるから...そんな忙しい中での貴重な休みを私に割いてくれてるんだから私が感謝しないと！」

「 A... 」

何だか自分が心底情けなくなってAに倒れ込む。

寝巻きでおまけに寝癖付きなそんなだらしな俺を細い腕が抱きしめてくれる。

「俺、Aいないと生きていけない... 」

「ははは！大袈裟でしょ！」

俺の寝癖を手櫛で直しながら「でもね... 」と彼女がポツリと呟いた。

「でもね、たまにはね、朝からデートして１日中マサといたいな... なんてね。ごめんね、めんどくさくて！」

照れたような、でもどこか悲しそうなそんな表情をする彼女に胸がキュッと締め付けられた。

「本当ごめん、だから今日と明日はずっと一緒にいよ？」

「え？明日練習... 」

「明日は自由参加だから」

「でも行く予定だったんじゃない？」

「うん、今予定変えた。だから明日も一緒にいよ？」

「へへ、本当にいいの？じゃあ今日泊まっていっていい？」

「もちろん」

「やったー！」と子どものようにはしゃぐ彼女を俺はギュッと抱き締めた。

───────────────────

( A、俺忘れっぽいの直すから )

( う～ん...、期待しないで待っとく！ )

( 待って、そこは期待して )