あまい短編集 (ページ4)

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慣れっこ１柳田将洋ページ4

柳田将洋 side

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俺はものすごく忘れっぽい。

旅行に行くと必ず何か忘れるし人と会う約束もたまに忘れてしまう。

そして今日も彼女とのデートをすっかり忘れていた。

ただ今午前10時30分。

約束時間は午前10時。

着信履歴をみると彼女、Aからの着信が２回とメッセージが１件。

メッセージは「おはよう！まだ寝てるかな...？」とこんな俺を怒るでもなくいつも通りの文面。

急いで彼女に電話をかける。

「もしもし」

「もしもし、俺だけど… 」

「あはは、焦ってるね～おはよ！ねぼすけな柳田将洋くん！」

「本当ごめん...今すぐ準備するから！」

「準備しなくていいから家に入れてほしいな～... 」

「え？」

恐る恐る玄関に行き扉を開けると耳に携帯をあててにこにこしたAが立っていた。

「相変わらず凄い寝癖だね～」

「いつからいたの？」

「ん？ついさっき来たとこ」

「本当は？」

「あちゃ～マサに嘘はつけないな～...、15分前ぐらいから」

「インターホン鳴らしてくれたら良かったのに... 」

「いやぁ、マサ寝てるだろうなと思ってさ」

だんだん肌寒くて今日は一段と冷え込んでいるというのに15分も前からここで待たせて尚且つデートもすっぽかした俺に腹が立つ。

それに怒ればいいのにいつもいつもヘラヘラしているAにも何だか腹が立つ。

とりあえず彼女を家にあげてソファに座らせる。

「ねぇ、なんで怒んないの」

「ん？」

「だからなんで怒んないの！」

「なんでマサが怒ってんの？」

「だって俺彼氏失格じゃん。彼女とのデートすっぽかすは寒い中待たせるわ... 」

「だってマサは怒る女の人タイプじゃないんでしょ？」

「そうだけど！今はそういうんじゃなくて！」

何だか上手く伝わらなくてむしゃくしゃする...