あまい短編集 (ページ13)

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あまえんぼ１柳田将洋ページ13

「マサさん？どしたの？」

「別に」

「だってこんなにデレてるマサさん久々だから... 」

「は？デレてないんだけど。何言ってんの」

頭大丈夫？、という目でギロりと睨むけど私にくっついて甘えてるから怖くないよ...

何だか今日のマサさんはデレの日らしい...

ちょっと体調悪い時とか、お酒を飲んで酔ってる時とか、バレーで上手くいかない時とか、誰かと喧嘩しちゃったりとか...そういう時は私にスリスリと猫のように甘えてくる。

普段は全くデレない、だからと言ってツンツンしてる訳でもない。

多分私が犬のように構って構って、と常にマサさんにくっついているからデレることも少ないんだと思う。

だけど最近仕事が忙しくてマサさんに会うことすら少なくなっていたし連絡も前みたいに頻繁にとっていなかった。

やっと仕事が一段落してマサさんに明日会えますか？と連絡をいれると会えるよ。と返信がきたので約２週間ぶりぐらいにマサさんのお宅にお邪魔している。

私が「お邪魔します」と家に上がった時から今日のマサさんはちょっと変だった。

いつもなら玄関までお出迎えとかはないしほとんどインターホン越しに「鍵開いてるから」とそれだけなのに今日はお出迎えしてくれて何故かリビングまで手を繋いで行った。

私の大好きなココアもすすんで出してくれたし絨毯の上に座っている私の後ろにマサさんも座り長い腕を回されたり...

そして現在私の膝にマサさんが頭を乗っけてごろんしている。

「何かあったんですか？」

「んー？」

「何もないの？」

「んー... 」

「んーじゃ分かりませんよマサさん」

「うるさいんだけど」

「理不尽！」

なんということでしょう...今日のマサさんは本当になに考えてるのか分かりません。

まぁいつも何考えてるのか分からないんだけど...

こんなに素直に甘えられるとどうしたらいいか分からなくなる。

なにか喋ってないと落ち着かないから自然と口数が増えるけど全部マサさんの「んー」で終わってしまう。

それでも私はめげずにマサさんに話しかけた。