第186奏 マナと造った文字 ページ43
唄を口ずさむ
「これって、子守唄だよね、ティム、フレッド」
「…だろうな」
「この詩を読むと、頭の中で曲になって聴こえてくるんだ」
私の頭の中に誰かいるような、そんな感じで
(サンドイッチでも食べよ)
…何か、ティムが欲しそうに近づいてくる
でも…
「…気持ち悪い…」
食欲が出ない
そのままにするのは勿体ない
半分に千切り、フレッドとティムにあげた
「……」
ばくばくと食べるティム
ティムってゴーレムだよね…
食べ物は食べないハズだよね…?
「私は…ちゃんと、自分で道を選んで歩いてるんだよね…?
今のこの道が…誰かに決められたものなんかじゃ、そんなんじゃないよね、ティム、フレッド…?」
食べるのを止め、こちらを見つめるティムとフレッド
「どうしてなの…「楽譜」に描かれてる文字……
私とマナが昔、ふたりで造った文字なんだ」
フレッドの目が見開く
「ずっと忘れてた………私とマナだけが読める文字……子供遊びの暗号だよ」
マナとふたりで考えて造った文字
それがなんで……
部屋を出ようとした時―
ガチャ
「!」
「ここにいたか」
ユウが入って来た
とりあえず、ソファに座る
「ここにいること、何で分かったんですか?」
「病室にも食堂にもいねェ。そしたら、ここ以外ねェだろ」
「はは…」
どうやら、消去法で探したらしい
(そういえば…ティムとフレッドは?)
いつの間にかいなくなっていた
「…」
ぎゅ…
ユウの手を握り寄りかかる
「A?」
「少しだけこうさせてください」
僕がそう言うと、ユウは何も言わず握り返してくれた
(落ち着く…)
さっきまでの不安が少しだけ無くなっていく
(自分を怖いと思うなんて…)
僕、こんなに臆病だったっけ…?
自分の変わりように驚く
(でも、これが人間なのかな…?)
昔、人間は臆病な生き物だと教えられたことがあった
誰に教えてもらったっけ…
確か、屋敷に住み込みで働いてた家庭教師だった気がする
昔はなぜ臆病なのか分からなかったけど、今なら分かる
人間は、魔の一族と違って弱い
だからこそ、何かに怯えながら生きていく
それはきっと、生存本能なのかもしれないけど
その後、病室に戻るべく方舟を出た
そして―
「…」
「…」
「悪い、言っちゃった」
婦長に見つかった
正確には、フレッドが僕らの居場所を吐いた
なので、待ち伏せされてました
(そういえば、師匠はどこにいったんだろ?)
あの部屋にはいなかった
呼び出しでもされたかな
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道化師ロキ - とっても面白いです！更新がんばってください！応援しています！ (2017年7月26日 14時) (
レス) id: 091673db49 (このIDを非表示/違反報告)
アイリア - コメント、ありがとうございます。無理しないよう気をつけながら、更新していこうと思います! (2016年7月14日 16時) (レス) id: a2eced5c3e (このIDを非表示/違反報告)
切り身*.(プロフ) - 初めから読んでます。いつも更新楽しみにしてますので無理せずに頑張って下さい！ヽ(*´∀｀)ノ (2016年7月12日 17時) (レス) id: b30fa4f571 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アイリア | 作成日時：2016年6月18日 10時
