97 違う道 ページ11
ありえない跳躍力でこちらの間合いまで一気に詰めてくると、真正面に拳が飛んでくる。
それを横に躱すと、次はハイキックは繰り出してきたので、それも後ろに飛んで躱す。
妹は次々と技を仕掛けてくるが、俺はよけることに専念する。
なぜ妹と戦わないといけないんだ。理由もわからないまま戦うなんて、俺は絶対に嫌だ。
「やめてくれ。戦いたくない」
俺が戦わない意思を見せようとも関係なく、どこからか槍を取り出して、襲い掛かってくる。
俺も次いで炎の剣を取り出して、猛攻を防いでいく。
一切止まることなく繰り出される攻撃は、段々と激しいものに変わっていく。その間にも攻撃魔術を打ち、様々な武器を取り出しては、殺す勢いで向かってくる。
妹の悪魔としてのポテンシャルの高さに驚く。見る限り、妹の体はおそらく名のある家柄なのだろう。そうでなければここまで武術に秀でているはずもない。魔力量の多さもピカイチだ。
しかし、妹の家系魔術がよく分からない。
取り出したいものを取り出せる、ようなものだろうか。クララと同じものか。
「そろそろ魔力が尽きてくるんじゃないか？」
「ッ……！」
案の定、魔力切れを起こし始めていて動きが鈍くなってきた。あんなにバカスカ魔術を打っていれば、早いうちにそうなるだろうと思っていた。
これが、狙いだ。家系魔術は、使いすぎると反動があるものもある。
あまり負担をかけさせたくない。早くこの茶番を終わらせないと。
「ゆず、お前はそんなことする子じゃないだろ？一旦落ち着いて話を……」
「うるさぁい！！」
ゼーハーと全身で息をしながら、妹はポケットからなにか注射器のようなものを取り出し、それを腕に突き立てた。
まずい、どう見てもヤバそうな代物だ。
「おい！なにをしてっ」
すると妹の魔力の気配が一層強くなった。
魔力増強剤？！それは確か違法になったんじゃ……！？
無理やりに魔力の底を引き出す魔剤は、体への負担が大きく、後遺症が出る場合もあるときく。
どうしてそこまでして、俺と戦いたいんだ。
「俺が、憎い……のか」
「！！」
「何不自由なく生きている俺が…」
妹と比べると確かに幸せを享受できる環境にいた。親に、家族に、友達に愛されていた。
しかし妹はどうだろうか？
家族には見放され、施設では暴力を振るわれ、知らなくてもいいむごい事実を突きつけられて…誰かを憎まずには生きられない環境だった。
それはきっと、俺にも向けられるものだった。
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南条(プロフ) - 雪見大福さん» コメントありがとうございます！労いのお言葉大変染みます〜次回作も考え中ですので、気長に待っていただけると有難いです！ (2022年10月28日 8時) (
レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください！楽しみにしてます (2022年10月22日 23時) (レス) @page23 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - 朱莉さん» 温かいコメント有難うございます！そのような声をいただけると作者冥利に尽きます。楽しんで読んでいただきありがとうございました！ (2022年10月10日 23時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
朱莉(プロフ) - 完結お疲れ様でした。設定がめちゃくちゃ好みで、いつも更新される度にワクワクしながら拝読してました。凄く面白かったです！素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年10月10日 22時) (レス) @page23 id: 4569dbbd6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2022年8月28日 23時
