42.嫉妬 side O ページ12
「反則…？」
彼女の小さい声でハッとする。
少し怯えたような表情に、自分がどういう表情をしていたのかが分かる。
「ごめんっ…何でもないよ……って言いたいけど…本当は、今、すっごく嫉妬してる」
「嫉妬…？」
「翔くんの言うことなら、Aちゃんは何でも聞くでしょ？それに…嫉妬してる」
自分の情けない嫉妬で、彼女を怖がらせたことに自責の念に駆られる。
翔くんはズルい
Aちゃんと特別仲が良い訳ではないのに
むしろ、怖がられてるのに
自分の思い通りに出来て
それは翔くんがAちゃんに対して威圧的だから、Aちゃんが従わざるを得ないんだろうけど
翔くんが本当はAちゃんのことを好きで好きでしょうがないから、言動が裏目に出ちゃってるだけで、翔くんが本気でAちゃんを手に入れるなら勝てる気はしない
だから、先手を打ったはずなのに
目の前にいる彼女は翔くんの裏目の言動だけで、動いてるわけではない気がする
「ごめんね？怖い思いさせちゃったかな…？」
「い、いえっ…少しびっくりしただけで…‥でも、大野さんの気持ち知れて良かったです。自分の機嫌が悪い理由を教えてくれた方が…いいです」
それは翔くんと比べてる？
「Aちゃん、今、翔くんのこと思い出したでしょ？ダメだよ、俺と一緒にいるのに」
「えっ…と…」
困らせてるのは分かってる
「じゃあさ、俺も一緒に行くよ」
「えっ…」
「翔くんはAちゃん1人でって言ってないでしょ？だから、へーきへーき」
少し強引だけど、それくらい良いよね
だって、どうしようもないくらいAちゃんが欲しい
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作者名：美紗翔 | 作成日時：2022年7月11日 23時
