好きなのに(s.s) (ページ19)

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18.現在進行形ページ19

それから、1ヶ月が経ち、Aとニノが出演しているバラエティ番組が多くなって来て、いよいよドラマが始まるんだなと思う。

『アリサちゃんと二宮くんは幼馴染って聞いたんだけど、本当？』

テレビの中で司会の芸人が2人に聞く。

幼馴染って…
俺がAと幼馴染だっつーの。
まあ、ニノも中学の時から一緒にいるから当てはまるっちゃ当てはまるけど……

テレビにイライラして手に持っていた缶ビールを一気に喉に流し込む。

『カズとは中学から一緒で幼馴染みたいな感じですけど…』

『ほら、その呼び方とか！本当に仲が良いんだね。好き同士とか？幼馴染あるある(笑)』

面白おかしくする芸人にAが『仲が良いだけです』と返すけど、『本当に〜？』と芸人がしつこい。

ああっ…もう、イライラするっ！
なんなんコイツ！

空になった缶を目の前のテーブルに思い切り置く。

『あはは、やめてください。アリサとは本当に仲良いだけで、何もないですよ。それに、アリサには俺より幼馴染歴長い人いるんで』

ニノの発言に「誰々？」と周りから声が聞こえる。
それって、俺のこと…だよな。
ゴクッと唾を飲み込んで、次のニノの言葉を待つ。

『名前は流石に言えないっすよ。その人は一般人なんで。3人で仲良いんすよ』

仲良いって…

「現在進行形じゃん…」

『そうなんです。高校卒業後はお互い忙しくて、なかなか会えなくて…。でも、この間、久しぶりに会えたんです』

『え、ずりぃ。なんで、アリサだけ会ってんの？俺も呼んでよ』

幼馴染なのにニノだけ会ってないということでテレビ内では笑いが起こっていた。

Aとニノが俺のことを今でも仲良いと言ってくれる。会いたいと言ってくれている。

「…はっ……俺はどんだけ捻くれてんだよ」

2人から離れたのは俺なのに…
優しすぎるよ。