【npr】日常と問題児

12.手当 ページ14

手を引き食卓の椅子に座らせて
急いでタオルと水を張った桶と救急箱をもってきた。


｢とりあえず泥と血を落としましょう。タオル濡らして拭きますね。｣


｢ちょ、ちょお、平気なん。って痛い痛い痛い！痛いって！｣


｢我慢してください。…喧嘩ですか？｣


ずっとずっと聞きたくて聞きたくなくてでも知らなくちゃいけなかった私は聞いてみた


｢うーん、怖がられたくないから言わなかってんけど…｣

｢怖くないよ、聞きたい｣

｢…どこまで知っとんの｣


｢私の友達から噂で聞きました。目が合った人全員殴るとか、男も女も関係なく関わると不幸になるとか。暴力を振るうって｣


｢はぁ〜？？？なんやそれ盛りすぎちゃう？｣

険しい顔から一気に笑い顔になる

｢で、でもみんな言ってたよ｣

｢…んーまぁ、俺と関わったら不幸になるのはあっとるかも知らんなぁ。違うって断言出来るのは俺は売られた喧嘩しか買わへんとこやな。｣



真剣に答えてくれているのはわかる


｢すぎるさんは正直ものなのに負けた人が嘘を言いふらしているんですね。｣


｢まぁそういうのはどうでもええんやけどなぁ。そういう目で見られてるのは気づいとったし、ただAちゃんにはこんな姿見せとうなくていっつも居ない時にだけ帰ってきてたんよ。｣


だから、いつもいなかったんだと腑に落ちる


｢なんで私に遠慮するんですか。｣

よろしくって言ったのに…


｢ん、なんやろ理事長には世話になっとるからかな…いや、ただ単純に嫌われたくなかったんやAちゃんに。｣


｢…ずっと教えてくれない方が嫌いです｣

｢じゃあ好きってことやんな？｣


｢それは、ちょっと…｣

｢なんでや〜！仲良くしようや〜！｣

あははと笑いながら話していると手当ては終わった


｢ん、ありがとぉ｣

｢私、人から聞いた噂なんて信じないことにします。ので、帰ってきてください。すぎるさんの話が聞きたいです。｣

｢…おん…。そんなこと言うてくれる人初めてや。｣

顔は赤くないけれど耳が赤い

照れてるのがわかりやすくて可愛らしい人だなあとわかった。

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