君で溢れる【梅原裕一郎】

春とは ページ7

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学校が終わって、今日は事務所に寄って、そこでよっちゃんと合流して帰る。

事務所の椅子でぼーっとしてたら、後ろから「わっ！」と驚かされて椅子から転げ落ちた。

「ええ！？ごめん！大丈夫！？」
『宏太朗さんか…びっくりした…大丈夫ですよ！』
「こんな驚くと思わなくて、ほんとごめんね」
『や、そんな謝らなくても！』

人よりビビりだから全然平気。
宏太朗さんはさっき収録が終わって台本を取りに来たらしい。

「Aちゃんもう帰るの？あ、お兄ちゃん待ち？」
『はい！よっちゃんもうすぐかなーって』
「そっかそっか、1人で待ってるの心細いだろうし僕も待ってようかな」
『宏太朗さん』
「ん？」
『聞いてほしい話があるんですけど』
「なに？学校のこと？」

聞いてほしいこと、それは梅くんのことだ。
こないだ3人で出掛けてからずっと脳内は梅くんでいっぱい。宏太朗さんは一緒にラジオをしてるから関わりがある方だと思う。

「Aちゃん」
『はい…』
「春が来たよ」
『へ？今秋ですけど』
「きっとすぐ分かるよ！じゃ！」

ちょっとよく分かんないけど、結局結論が出ないまま帰ってしまった。

『うーん…』
「A、お疲れ様」
『あ、よっちゃんお疲れ様』
「帰ろっか。今日は外で食べる？もう遅いし」
『よっちゃんに任せる』
「ん、分かった。じゃあ行こっか」

車に乗って、適当なファミレスでご飯を食べて帰った。その間も私はずっと春が来たよっていう言葉にモヤモヤしていた。

帰ってきてTwitterで『みんなにとっての春ってなにー！？』とツイートして、お風呂に入った。戻ってきてよっちゃんに「何の話？」と問われたけど私にも分からない。

届いたリプライを見たら

今は秋だよ！
春と言えばお花見かな？
ポカポカ陽気

など色んな回答があった。
その中で、"Aちゃんにもそういう大切な人がいるのかな？"というのが目に入った。よっちゃんの事だろうか。

『じゃあよっちゃんが春なのか！』
「ん？なに？」
『あれ、違うか…』

梅くんの話を聞いてもらってたのに最終的によっちゃんの話になっちゃった。これは難しい。私にはまだまだ分からない気持ちだ。

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