君で溢れる【梅原裕一郎】

新たなる王子様 ページ5

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『よっちゃんおはよ……』
「おはよう〜寝癖すごいな」
「おはよ」
『え……』

朝起きたら、梅くんがいた。

今日は学校も仕事も休みでよっちゃんと一緒にお出かけする予定だったからいつもより早く起きた(とは言ってももう午前10時)。

リビングでテレビゲームに夢中な二人とドアの前で呆然としている私。
っていうか寝癖すごいって！しかもまだ顔洗ってないし！

「あれヨシキのTシャツじゃない？」
「あーそうそう。パジャマにしてんの」
「ふーん。あっ、死んだ」
「A、顔洗っておいで」
『う、うん……』

顔を洗って寝癖を直して、すっぴんではあるけど人前に出られるようにはなった。鏡を見たらTシャツは肩までズレてるし短パンはめちゃくちゃズレ上がってるし最悪だよ。

洗面台で項垂れてたらよっちゃんが様子を見に来てくれた。

『もうよっちゃん、梅くん来てるならなんで言ってくれなかったの！』
「え、俺言ったよ。梅のこと迎えに行くから待っててって。ちゃんと返事してたよ。はーいって」
『まじでか……』
「寝起きも可愛いし良くない？」
『良くないよ〜、もう……』
「ごめんごめん、起こしてから行けばよかったな。よしよし」

よっちゃんだけならまだしも梅くんに見られたのがショック過ぎて立ち直れない。抱きついて頭でグリグリ押したら、頭をぽんぽん撫でられて、なぜかそれで満足してしまった。

「おい、何してんの」
「梅に寝起き見られたのがショックなんだって」
『言わなくていいの』
「はあ？そんだけか」
『結構な問題だよ！』
「誰だって寝るんだから仕方ないだろ」
「どんな励まし方？てか早く行こう。着替えておいで」
『はーい…』

よっちゃんから離れて、洗面所の入口に立ってた梅くんの横を通ろうとしたら腕を掴まれた。

『えっ、なに…』
「……」
『なんか言ってよ…』
「赤ちゃんみたいな顔だな」
『え？』
「早く化粧して来い。準備長い女は嫌いだから」
『わ、分かりました！』

早歩きで自室まで行った。やばい、ドキドキが止まらない。あんなに梅くんの顔が近くに来たことないし初めて触れられた気がする。うわー、駄目だ。よっちゃんを越えてくる人現れたかもしれない。

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