Sweet Night, and You

１５＿ 山崎康晃 #キス ページ20

＊ヒロイン→女優設定
　



「あ……」






リビングのほうから康晃の声が
聞こえたと思い、そちらに目を向けると



テレビを見ながら項垂れている彼。








今日は私が出演してるドラマの放送日









康晃がこんな風になってしまった理由は、ドラマの内容なわけで。












「だから見なくていいって言ったのに…」


「だってさぁ…」











テレビの中に映るのは、
相手俳優さんと口付け合っている私。








次の放送でキスシーンあるからって
先週のうちから前もって言ってたのにな。









まだ気落ちしているようだったから、

彼のほうに向かい声をかけようとした










だけどそれと同時に引き寄せられる腕。













膝に乗せられると、そのまま深いキス。














少し乱れた髪を耳にかけられ、

頰を撫でられ、








舌を絡めて、とびきり甘い口付け。













「…いまの顔が、本当の顔でしょ？」


「はあ…っ、」


「この顔。
演技じゃなくて、本当に感じてるんだよね？」















そんなの、当たり前。












静かに頷くと頭を撫でられながら
















「仕事だって分かってるけど、
やっぱりちょっと妬いたかな。

















だからさ、上書きさせて。」







少しだけ低い真剣な声が聞こえた。












「…ぁ……んっ、あ……！」








口だけでなく、体中にたくさんのキスを注がれたあと



向きを変えられ、後ろ向きに座ったまま

熱いものに貫かれる。









目の前のテレビでは、
ドラマ内の回想シーンで

あろうことかさっきのキスのところが。











それが視界に入りながら、
こんな格好恥ずかしい。









「…っ、あいり… 、」


「ん……なに…？」





「好きだよ。








だから俺のことだけ見てて……」















背後を振り返ると、もう一度


いちばん深くて蕩けるようなキス












わたしも好きだよ、いちばん好き。











精一杯の想いで伝えたら、
彼はいつもの笑顔で見つめ返してくれた。







どちらからともなく
向かい合うような体制に変えて
きつく抱きしめあう。









この時間だけは、
私たちの間を邪魔するものなんて何もない。






酔いしれるほどの甘い雰囲気のなか、

２人何も言わずに
この余韻に浸り続けた。

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