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〈 命の知らせ 〉 ページ26

それは少しだけ雪が散らついていた日のこと
　
　
　
　
　
　
　
　
　

「(緊張するなあ…)」

　
　
　
　
　
　
　
　

母子手帳とエコー写真を握りしめて、
大きく深呼吸。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　


壁を挟んだ隣のリビングでは
遥輝がテレビを見ながらくつろいでいる。
　
　
　
　
　
　
　
　
　




　
　
　
　
　


喜んでくれますように。
　
　

　
　





まだ目立たないけれど、
お腹に命が宿ったことを遥輝に報告します。


　
　
　
　
　



　




「ねえ、遥輝？」


「ん？」


「ちょっと良いかな。」
　
　
　
　
　


エコー写真を背に隠して
彼の隣に腰掛ける。
　
　
　
　
　



すると、何か持っていることに気付いた遥輝が
　
　
　
　
　
　

「なに隠してるん？笑」


「ん〜、なんだと思う？」


「ノーヒントかいな。笑」
　
　
　
　
　
　
　
　
　

２人でニコニコ笑い交わすと
なんだか緊張が和らいできた。
　
　
　
　
　
　
　


「俺が喜ぶもの？」


「うん、喜んでほしいな。
私はすごく嬉しかったものだよ。」


「じゃあ俺も嬉しいやつやな。」
　

　
　
　
　
　
　



自信たっぷりの笑顔で言ってくれたから、
そろそろ正解発表を。


　
　
　
　
　


　

「はいっ」

　
　
　
　
　
　
　
大切な写真を両手で持って
彼の前に差し出した。
　

　
　
　
　
　

さっきまでいつもの調子で
喋っていた遥輝は、それを見ると目を瞬かせる。
　

　
　
　
　
　
　

「…えっ、え
待ってこれ俺たちの…？」


「うん。喜んで…くれるかな？」

　
　



　
　
　
　

小さな声で問いかけると、
　
　
　
　
　
　
　
　
　


「嬉しいに決まっとるやん！」


　
　
　
　
　
　
　
　
　

一瞬にして、
大好きな腕に抱きしめられる。

　
　
　
　
　
　



「ありがとう。あいり ありがとう。」
　
　
　
　
　
　

　
　
　

私の頭を撫でながらそういう彼の声は
少しだけ震えているかも。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　


はじめてだから、
不安なこともあるけれど

　
　



遥輝となら乗り越えて行けそう
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

「頑張ろね、パパ。笑」


「あ〜アカン。ニヤけてまう。笑」
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　


２人でエコー写真を見つめながら
そんな会話をした冬の日。

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