色が舞う (ページ3)

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第二の部屋：紫苑ページ3

A様は、「紫ババア」というのをご存知ですか？
出会うと自らの影が紫になってしまうとか何とか。それならできる限り会いたくはないですね。
次は…そんなお話の世界へお連れしましょう。

……紫色の扉を抜けると…木造の学校に出た。木造だから結構歩くたびにギシギシと音を立てている。………それだけで十分怖い。
外を見ると…もう夕方…だった。
そういえば学校に七不思議とかで騒いでたっけ？懐かしいなぁ～。
さてと…そんな気分に浸ってる場合じゃないんだった。
紫ババア…。聴いたことがある。二十歳まで憶えてるとダメなんだよね？
でも…孫想いのお婆ちゃんだとも聴いた。亡くなった後、孫がくれた紫色の何かを探してるって。
『ここを出る策は出せそうですか？』
「ここにも出るコツがあるのですか？」
『そりゃもちろんですよ。とうりゃんせは歌でした。ここは…ヒントは紫色のです。』
「紫色の…」
ここは学校。紫色のものは沢山あるんじゃないだろうか。でも…人からが大切なのかもしれない。拾うのではなくて…再現が。
なんて考えてると向こうの方からギシギシと歩いてくる音が聞こえてきた。
そんな‼もう来てしまったの？
あたりは夜と夕方の境目、紫色になっていた。
早く…探さないと…。紫色の何かを…。
“孫がくれた紫色の大事なもの。返して頂戴？”
「え？返して…？」
“貴方が持っているのでしょう？返して頂戴。”
「お婆ちゃん…何処かに落としてしまったんです。だから探させてください。」
“落とした？それは大変ね。探しましょう。”
何とか…切り抜けた。お婆ちゃんが来た方向から探すのが手っ取り早いかなぁ。
ギシギシ鳴る木造の学校を駆け回った。紫色の大事なもの。それが何を指しているのか。少しだけ気になった。………あのお婆ちゃん…着物だったな。
っ‼わかった‼お婆ちゃんを見つけないと‼
「お婆ちゃ～ん‼見つけたよー‼」
すると向こうからゆっくりとお婆ちゃんがやってきた。
“どれだい？見せておくれ。”
必死の形相だが怖くない。わかったから…。
「お婆ちゃんの帯についてる此れ。このストラップだよ。」
そう言ってAはこのお婆ちゃんとは不釣り合いな飾りを見せてあげた。
それは桔梗を形どった可愛らしい紫色のストラップだった。
“こんなところに…。”
そう言ってお婆ちゃんは涙を流した。

今回は少し良いお話でしたね。A様。頑張りましたね。
次はどんなお話が待っているのでしょうか。