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｢ Aちゃん、これ最後。8番テーブルにお願い ｣
『 了解です 』
時は無情にも、流れるように過ぎ去り
気づけば夏が終わろうとしている。
そろそろ本気で、
あれは夢だったのではないかと疑い始めた。
そう思い込めば、この彩の無い日々を乗り越えられるし、
逆に幸せな夢を見られて良かったなぁ、とさえ思えるから。
『 お疲れ様でした〜 …… 』
｢ …… 、お疲れ！ ｣
何か言いたげな店長に首を傾げながら会釈し、外へ出て
音楽を聴こうと携帯の画面見て、思わず足を止める。
『 …… うそ 』
中間淳太明日22時に、ここで待ってる http./www.XXXX/XXXX/XXXX
たったそれだけ。
見れてなくてごめんとか、久しぶりとか
想像していた言葉は何一つ合っていなかったし、
こんなに長い間 音沙汰無しで、何より心配だったし、
…… 本当は凄く寂しかったけれど、
やっぱり私は、淳太くんが好き好きで堪らないみたいだ。
涙が溢れて止まらないや。
思わず胸の前で抱き締めていた画面をもう一度見て、
涙をぐっと堪えて返事を打つ。
分かりました
淳太くんから連絡が来たのは数分前だったけれど、
直ぐに既読がついた。
…… 見てるんだ、淳太くんが。
画面の先で、私とのトーク画面を開いてる。
これも奇跡なんだって、この数ヶ月で痛いほど実感した。
話したいことは山ほどあるのに、
なんて送ったらいいのか分からない。
打っては消して、打っては消して。
淳太くんが離れていっちゃう前に何か送らないと、と
焦る気持ちばかりが募って、泣きそうになる。
スマホのキーボードの上で指の行先を迷っていると、
携帯の画面がパッと切り替わった。
それが、ずっと、ずっと待ち焦がれていた、
淳太くんからの電話だと気づくまでには少し時間がかかった。
震える手で通話ボタンをタップする。
『 …… っ淳太くん 』
" …………………… っ、"
電話の向こうで、息を飲むのが微かに聞こえた。
ずっと待ってた。ただ、声が聞きたかった。
…… っ会いたいよ。
会って私を抱き締めてよ。
それで、好きなのは私だけじゃないって、証明してよ。
もう、ひとりは嫌だよ。
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作者名：nameless | 作成日時：2021年10月20日 17時
