over the ages【J.Nakama】Ⅲ (ページ13)

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暫く気持ちを落ち着かせる為に固まっていれば、

ドライヤーの音が止んで

｢ん、乾いた｣と言う声が聞こえた。

『あ、ありがとうございました …… 』

後ろを振り返ってぺこりとお辞儀をすれば、

｢ん｣と今度は頭をわしわしされた。

緊張しないように気使ってくれてるのか、

今日の会ってすぐの時みたいな気まずさはなかった。

『あの、』

中｢ん？｣

『 ………… 、』

中｢なになに？その間が一番怖いんやけど笑｣

言わなきゃ。

もう逃げちゃ駄目だ。

俯く私を覗き込むように、淳太くんが私の隣に座る。

"── 勘違い、せんといてな？"

…… ああ、怖いな。

笑えるほど、足がすくむ。

"好きなんやったら、
諦めんでアタックするべきやと思うねん、俺は"

"…… 頼んだわ"

もう……ひとりじゃない。

いい加減、解かなきゃ。

自分にかけた《呪(まじな)い》を。

"好きになっちゃいけない人、なんていないから"

"私、Aには誰よりも幸せになって欲しいよ"

自分の為だけじゃない。

彼の為に、私は変わるんだ。

『私は、………… 私には、何もありません。

好きな人に、私ってこんなに魅力的なんですよ～って、

プレゼン出来るようなところは、ひとつもないです』

中｢っそんなこと｣

『そう、思ってました。……ずっと。つい最近まで』

中｢ …… ｣

『私は、周りの人を不幸にしてしまうから。

…… 過去の自分を、許せないから。

でも淳太さんが現れて

私 …… 変わりたいって、初めて思ったんです』

正直、何となく気づいてた。

彼は私を好いてくれている。

これは多分、自惚れじゃない。

私の目に映る淳太くんは、何故か泣きそうで。

大きな目が潤んで困った顔で笑ってる。

彼の目に、私はどんな風に映っているのだろう。

……笑ったり怒ったり、表情の忙しい人だなぁ。

殆ど無意識のまま手を伸ばして、ぎゅっと引き寄せた。

『私、淳太さんの事が好きみたいです』

あなたの為なら、

きっと私は、私を変えられる。

いつかまた《変われない》って

自分を縛りつけてしまうかもしれないけど、

でもあなたが居てくれたら

諦めないで戦おうって、思えると思うんだ。

『淳太くんが必要なんです。

…… 淳太くんじゃなきゃ駄目なんです』

私は、あなたにとってのそういう存在になれますか。

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