くちびるふれず…イ・ジュンギssi (ページ27)

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２７話ページ27

正直、今日は嬉しい。

墮威さんに会わないから。

衣装合わせと、特種メイク用の顔の型どり。

石膏で顔を覆うから、

かなり息苦しいんだけど

苦しくないかスタッフが聞く度に

Aが耳元で

「ケンチャナ？」

と聞いてくれる。

微かに耳にかかるAの

吐息がくすぐったい…

三時間…長かったぁ～

衣装合わせも直ぐに終わり、

今日の僕の仕事は終わってしまった。

「Aさんの荷物どうする？病院のこともあるし…」

「２～3日分なら病院に置いてあるんで病院に行ってから、ホテルに戻ります。帰りに電話するんで、先にホテルに戻っててください」

「僕も行きたいんだけど…」

Aは、

「１人で大丈夫ですから」

と冷たく笑うと僕たちに頭を下げて駅に向かっていった。

「ジュンギ、Aさん御家族の誰なの？入院してるのって。大切なお嬢さんを泊まり込みで仕事させるなら、挨拶行くべきよね」

「行ってもわかんないよ」

「一応よ」

「だって、一歳半のこどもだし…」

「えっ！Aさん子持ちなの？！」

マネージャーの驚いた顔。

帰りのタクシーの中、マネージャーは何か考えてるようだった。