【呪術廻戦】夏油傑と(不本意ながら)婚約しました

18.イケメンはただ映画を見ているだけで絵になるのか ページ20

映画の中盤、ふと傑くんの様子が気になった。


私は面白いけど、傑くんは面白いのだろうか。明らかに私のために選んでくれた映画だ。申し訳なさが先に来てチラッと右隣を盗み見る。

右の肘掛けに肘をついて手に顔を預けている傑くん。
イケメンはただ映画を見ているだけで絵になるのか……。と少し恨めしい気持ちで飲み物を一口飲む。

傑くんはとても真剣な表情で映画を観ていた。
良かった、面白いと思ってもらえているかな。


すると、急に彼と視線が交わった。

先程までスクリーンに注がれていた真剣な眼差しが私に注がれる。

ヤバ、顔を盗み見していたのがバレた！？と少し動揺していると、彼の左手が私の右手に触れた。
そこから流れるような動作で恋人繋ぎにされ、彼の視線はスクリーンへと戻っていった。

傑くんの手の温もりがとても心地良い。私もスクリーンに目を戻した。









『めち゛ゃくち゛ゃ良かった〜〜！』

「まさかあんな展開になるなんてね。私も最後泣いてしまったよ」

ただの恋愛映画かと思いきや最後に泣かせにくるパターンの映画で、さっきから涙が止まらない。

「ほら、そろそろ泣き止まないと。Aの可愛い顔が台無しだよ？」

『ん゛〜〜！』

「はは、Aは泣き虫だなぁ」

『ごめんね、泣き虫で！！......傑くんは？映画面白かった？』

「とても面白かったよ。そろそろお腹空かないかい？ご飯にしよう」

時間を見ればちょうどお昼時。

「ご飯食べたい！」

ご飯のことを考えたら涙も引っ込んだ。やっぱり食欲に叶うものはないかもね。

「行こうか」

映画館のロビーの椅子から立ち上がって歩き出す。

いつもは傑くんから手を繋いでくれるから、今回ぐらいは私から手を繋いであげても良いな……。と思って傑くんの手に自分から手を絡める。

「……！？」

傑くんは驚いて声も出ないようだ。

彼の珍しい表情を見て私は満足げに笑った。

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