memory.6 ページ8
カイルside
僕らを見下せる程の巨体を持つ怪物。どうやら怪物も僕達に気付いたみたいで、先程よりも目付きが鋭くなった
すぐに剣を構える
「カイル。まさか......」
背後から姉さんの声がした。どうやら姉さんも気がついたみたいだ
「ああ。きっと...いや、間違いない」
僕が助けた少女...彼女は傷だらけだった。姉さんの話だと、剣や槍などの人間が使う武器でつけられたものではないと言っていた
そして彼女が湖にいた経緯を考慮すると...
「あの怪物だ。彼女を襲ったのは」
少しずつ間合いを詰める。アイツに攻撃をするのに必要な距離を確保する
姉さんは僕の動きに合わせて後退していく
...
...
「今だっ!!!」
一気に地面を強く蹴り、その勢いに身体を任せる。怪物との距離までもうすぐ...
そして、剣を強く握り締め一気に降り下ろした
グギャアアアア!!!
怪物から人間とは違う紫色の液体が雨の如く降り注ぐ
昔は何度も背筋が凍りついたかのように震え上がるところだが、もう何年も経った今ではこれといった恐怖は感じなくなった
しかし怪物はこれくらいでは倒れたりはしない。もう片方の腕を勢いよく降り下ろそうとしていた
「...っ!」
僕は両手で強く剣の柄を握りしめ前で構える。それと同時に激しく伝わってくる振動
怪物の豪腕は刃に強く打たれた
「カイル!!」
「だ、大丈夫だよ姉さん!!」
後ろから姉さんが心配する声が
(僕は、強くなるんだっ!!)
「うおおおおお!!!」
重たい一撃を受け流した
怪物のバランスが崩れた。それを見逃さず、更に剣で一閃した
ギャアアアアア!!!
先程よりも痛々しい怪物の声が木霊する
でも、容赦はしない
「姉さん!!」
「ええ。確実に仕留めるわ!!」
最後の仕上げはネール姉さんが...
「安らかに眠りなさい」
銀色に光る線が横を通りすぎた。それは怪物の左胸へと綺麗に向かっていき
ドヒュッ
心臓に突き刺さった
途端に怪物は奇声を発しなくなり、そのままゆっくり崩れていった
「やったか...」
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