memory.4 ページ6
カイルside
向こうに明かりが見える。あれは間違いなく焚き火の明かりだ
側に一つの人影も見えた
僕は声を張りその人を呼んだ
「姉さん！！」
その人...ネール姉さんは僕の方に振り向いた
「カイル！...っ！？どうしたの、その子！？」
「湖で倒れていたんだ。まだ息はあるけど酷い傷なんだ。治療してくれるか！？」
姉さんは頷いてくれ、テントの中へと入っていった。治療薬を用意してくれてるに違いない
僕も続けてテントへと入った。薄い布が既に敷かれていたので少女をそこにゆっくりと下ろした
「それじゃあカイル。悪いけれど別のテントで待ってくれる？貴方がいるのは...マズイから」
あ、そうか。確かにそうだな...
「分かった。じゃあ後は頼むよ」
僕は姉さんに少女を任せて、外へ出た
「...ハア。姉さんなら、あの子を治す事が出来るだろうな」
姉さんは治療に関してはそれなりの知識を得ている。薬草を補充するときは種類までも細かく注文するくらいだ
昔から姉さんに手当てをされていた。小さい頃なんかは早く治るようにおまじないとか掛けてもらった。まあ、今じゃさすがにやられてないけど
それよりも、あの子が湖で倒れているのを見た時は一瞬息をすることを忘れてしまった
......父さんが死んだあの日からから人が倒れているのを見ると身体が敏感に反応するようになった
もしかしたら死んでいるのでは？そう思うと、凍ったと錯覚するくらい身体中が冷たく感じるのだ
「...震えてる」
右腕に左の手を添えると、その刹那伝わる振動。これ程までに反応を起こすなんて...
やっぱり、僕は......
「カイル。もう大丈夫よ。治療は終わったわ」
後ろからの姉さんの声に僕は我に帰った
「あ、うん。入ってもいい？」
「ええ」
ひとまず僕は姉さんとテントの中へと足を進ませた
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