memory.2 ページ4
カイルside
湖に綺麗な丸い模様が浮かぶ。今日は久々の満月だった
冷たい風が僕の冷えきった頬を掠める
湖に映っている僕の顔は酷く哀しみに溢れていた
僕は一息吐き、その場に座り込んだ
「......やっぱり無理だ。あの日を忘れるのは」
もし忘れてしまったら自分の罪から逃げ出すような気がして、父さんも忘れてしまうんじゃないかとそんな不安にも駆り出される
何時まで経っても弱虫だ
父さんみたいに強くはなれない。姉さんみたいに優しくて頼れる様な人にもなれない
同じ血が通っているはずなのに...
何で僕だけこんなに違うんだ
「...僕は、弱い奴だ......」
僕が弱い奴だから、僕が愚かだから、父さんは死んだんだ
もっと強かったら...!!
「僕のせいじゃない?違う。どう考えたって僕が悪いじゃないか!!!僕が......父さんを...」
何度後悔しても悔いきれない
「.........っ...」
今日はいつもより風が冷たく感じられた
ネールside
カイル...
後を着いてきて良かったのかもしれない
あの子は一人で背負い込んでしまうから、側にいないと駄目になってしまうそう
私なりに励まそうとしたけれど......余計にカイルを傷付けてしまった
あの子に辛い表情をさせてしまった
私は...お姉さんなのに
「全然駄目だ...こんなんじゃ、姉失格よね...」
私はカイルに何もすることが出来ず、テントまで戻りあの子が帰るのを待つ事しか出来なかった
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