memory.1 ページ3
カイルside
「......はっ!!...ハア...ハア...」
また夢を見てしまった
もう何度目かも分からない悪夢を
幼い頃の悲劇を
今でも覚えてる。あの日の光景が嫌でも忘れられない。どんなに忘れようとしていても...
「大丈夫?カイル」
僕の顔を覗き込む蒼い髪の女性。僕の姉のネール姉さんだ
「う、うん。そんなに心配しなくてもいいのに」
本当は...すごく辛い。少しでも気を緩ませてしまったら涙が出そうな程に
でも、たった一人の血の繋がった姉さんを心配させたくない。だから僕は無理にでも笑顔を作った
「...そう。それなら良いんだけれど......」
上手く誤魔化せたみたい、なのか?
いや、どうやら違うらしいな。姉さんの表情はまだ曇りがかかっていた
「カイルは背負い過ぎているの。あの日の事は貴方は何も悪くない。偶然が重なって出来てしまった不幸よ。カイル自身に罪は無い......きっと、お父さんもそう言うわよ」
「......」
僕の気持ちは簡単に割りきれてはいなかった
姉さんは僕の為に言ってくれてるんだと思う
でも、そうとは思えない。僕が...僕が、全部悪いんだ
「...そんな訳ない。僕の身勝手な行動で父さんは死んだんだ......
どう考えたって、僕が悪いんだっ!!!
僕が......僕が、父さんを...」
「...!!カイル......」
つい怒鳴り散らしてしまった。姉さんにこんな態度を取るなんて...僕はどうしようもない奴だ......
僕は頭を冷やそうと思い、さっき通った道にある湖に足を進めようとした
「カ、カイル!?何処に行くの!?」
「......ごめん、姉さん。しばらく、一人にしてくれないか...」
こんな状態で姉さんと話したくない...また姉さんに余計な心配をかけたくないから
僕は重い足を進め湖へと向かった
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