memory.14 ページ17
カイルside
朝食を終え、寝所の片付けもした僕達は最後に武器の手入れをしていた
「確か、《ライラック神殿》に向かうんだよな？」
「はい。ここからはそう遠くはないです」
近くで手入れの様子を眺めていた少女...エリカに尋ねる。もうそこまで来ていたと改めて実感した
すると、隣にいたネール姉さんが眉をひそめた
「エリカちゃんは、どうして神殿に行こうとしたの？あの辺りは凶暴な生物が彷徨いているのに...」
その言葉を聞いた途端、エリカは表情を固めた
「...そこに、私の探すものがあるから」
「探すもの？あそこは数々の財宝が眠っていると聞いているけれど...」
「ええ。私達は今回は財宝を探し出すためにここに来たけれど...貴女もなの？」
エリカは首を横に振る
「とてつもない魔力を秘めた魔石があるんです。私はどうしてもそれが欲しいのです...」
魔石...？
確か、孤児院にあった古文書には彼女の言った通り、普通の魔法よりも強い魔力が結晶となったものだと記されていたが...
でも、交易が盛んな街なら少数ながら売っていた筈。なのに何故...？
どうやら姉さんもその事に疑問を多少ながらも抱いたらしく、僕に耳打ちをした
『何かかなりの訳ありかもしれないわ...もしかしたら、権力の強い輩に無理矢理動かされてる可能性がある...。今は何も聞かないでいい』
そうか...わかったよ
僕は深く考えるも顔に出さないようにエリカに笑顔を向けた
「そうか。君の言う魔石が見つかるといいな。でも、無理をするんじゃないぞ」
エリカの表情が少し柔らかくなった
そして、僕達は共通の目的地《ライラック神殿》に向けて出発した
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