176 ページ1
無事に囲み取材を終え、数日の日が過ぎた。
囲み取材の時に真摯に対応したからか、あの日以降アナウンサーの女性のことは、あまり
言われなくなった。
その代わりAのことは頻繁に聞かれるようになった。
別に隠すことではないので俺は差し支えのない程度に対応した。
やっぱり球団が協力的だと助かる。
俺は伸び伸びと日々過ごせた。
今日も練習を終え、ファンサービスをしていた。
??「御幸くん。」
聞いたことのある声だ。
恐る恐る声の方を向く。
やっぱりか。
あのアナウンサーが笑顔で手を振っていた。
俺が完全否定したのに、まだ何かしようと考えているのか。
本当にコイツは気をつけないといけねぇ。
ファンの一部は俺と噂になったのを知っているのか、俺とコイツを交互で見ている。
御幸「お疲れ様です。」
俺は平静を装い、ファンサービスを続けた。
女子アナ「御幸くん、ファンサービスが終わったらデートしましょう(笑)」
御幸「はぁ?」
俺は思わず本音の声を出してしまった。
俺の声にファンが驚いた顔をして見た。
しまったとは思ったが今更、繕っても間に合わねぇ。
御幸「あの、本当に申し訳ないんですが、俺には婚約者が居ますから貴方とデートは
出来ません。」
女子アナ「私達、噂になった仲じゃないですか。」
御幸「単なる噂ですから。俺、全否定したの知ってますよね?」
女子アナ「そうみたいですね。でも私の気持ちは嘘じゃないですから。」
御幸「じゃあ、もう一度言います。俺は高校時代からの後輩の女性と婚約しました。
だから貴方の気持ちには応えられません。」
周りにファンが居ようが構ってられない。
23人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奈緒 | 作成日時:2022年1月30日 6時