クロ短編集 【黒尾鉄朗】

キューピッドは白衣の天使 part3 ページ26

「そんなこと聞いたんですか？！」

「えぇ、そしたら黒尾君、なんて答えたと思う？」

クロならなんて答えるだろうか？
口うるさい幼馴染？
それともただのマネージャー？
いい答えなんて浮かんでこない。

「………彼はなんて答えたんですか？」

「…これは私から言うのはどうかと思うんだけど……。おばさんって言ったお返しね。黒尾君、こう言ったの」

”彼女ではないっすねー、でも俺はAのことずっと好きですよ”

一瞬、耳を疑った。
クロが、私を好き………？

「………ほんとですか、それ」

「黒尾君、個室だから他の患者さんと話すこともなくてね。私が担当看護師だったし、よく話し相手をしてたの。ま、主にあなたの話かバレーの話ばかりだったけど。ねぇ、Aさんは黒尾君のことどう思ってるの？」

急な看護師さんからの質問で、
飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。

「………私ですか？！私は……」

私だって、ずっと昔から好きだった。
今でもその気持ちは変わらない。

「………私も好きですよ、彼のこと。小中高、ずっと一緒なんです。
でもただの幼馴染で終わると思ってた……。私のことそんな風に想ってたなんて知りませんでした」

すると看護師さんが急に抱きついてきた。

「いいわね〜！！恋する高校生、ほんっと可愛いわ！黒尾君、あなたにベタ惚れしてるわよ？他の男子と話しているとイライラするとか、笑顔が可愛いんだとか…。私はあなたと黒尾君、お似合いだと思うわよ？」

クロがそんなことを話すなんて、
考えられない。
私の顔が自然と赤くなる。

すると看護師さんは急に立ち上がった。

「もうこんな時間！私は仕事に戻るわね〜！………何か進展あったら私でよければ聞くからね！」

じゃあね〜、と言いながら看護師さんはどこかへ行った。

(………行っちゃった………)

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