クロ短編集 【黒尾鉄朗】

意外な一面　part3 ページ23

「俺、Aが好きだ」

鉄朗からまさかの告白。
鉄朗の顔を見ると真っ赤。
驚きを隠せないけど、
鉄朗が頑張って気持ちを伝えてくれたように、私も自分の気持ちを伝えなければ。

「…ありがとう。私も鉄朗のこと好きだよ」

すると鉄朗の顔が輝いた。
よほど嬉しいのだろう、顔を見るだけで鉄朗の気持ちが分かる。

「自分で言うのもなんだけどよ………。ビビりの俺でも？」

(気にしてたのか……)

「どんな鉄朗も私は好き。ずっと鉄朗に片想いしてたんだから。知らなかったでしょ？」

「……俺だってずっとAのこと好きだったんだからな。あー、でも俺の計画はパーだな」


鉄朗の計画とは、私とお化け屋敷に行ってかっこいいところを見せるつもりだったらしい。
だが、私があまりにもビビらなかったこと、そして(実は)ビビりだった鉄朗がお化けがびっくりするほど、ビビりすぎたことでこの計画はあっさりと幕を閉じた。

「まぁ、私は鉄朗の新しい一面が見れてよかったけど。ビビりの鉄朗君には私がそばにいないとダメだね」

「……他の奴に俺がビビりだってこと言ったらどうなるか分かるよな？」

「どうなるの？」

すると急に視界が暗くなり、
鉄朗の顔が目の前いっぱいに広がる。
私の唇には温かい感触。

「……これだけじゃ、すまねぇかもな」

鉄朗はニッと笑った。
先ほどまでのビビり鉄朗はどこにいったのだろう。

(ビビりのくせに、こーいうことは余裕でするのよね……)

「……はいはい、鉄朗がものすごいビビりなんてことは口が裂けても言いませーん」

「……本当かよ」

鉄朗は半信半疑だけど、
他人に鉄朗にはこんな一面があるんだよってことを言うほど私は優しくない。

私だけが知っている、鉄朗の一面。


ーーーーーもちろん、私が独り占めさせていただきます。

fin.




ビビり鉄朗と同じクラスの女の子のお話。

※あくまでクロがビビりだったらの話です。

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