私が思い出すあなたは私を愛しているよ【青】 (ページ14)

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なんとか継続をもらえて本当に良かった
課のみんなに差し入れ買っていこうかなぁ

何がいいかなと携帯を取り出して
最近話題になってた表参道のスイーツ店を思い出して立ち寄る

テイクアウトで人数分の洋菓子と
少しのご褒美で帰り道に飲むコーヒーも一緒に頼んだ

洋菓子ってこんなにかさ張るっけ
無駄に区切りが多めの白い箱を見つめながら
崩れないように右腕にかけ、手にはコーヒー

＿プルルルル、プルルルル

こう荷物が多い時に限って
クライアントからの電話がくる

なんで今なんだと思いつつ
左肩にかけたカバンの片方の紐だけを落として、左手で社用携帯を漁る

『っきゃ！』

「うゎ、すいません大丈夫ですか？！」

カバンを覗いた瞬間に
すれ違った人とぶつかって
そのままカバンから飛び出る私物たち

『っわ、すみません。
　私がよそ見してたせいで。』

ぶつかってしまった人に目を向ければ
少し暗めの髪が黒ぶち眼鏡にかかってて
左耳にはピアスが２つ揺れている

あ、
待ってだめだ

だってこの人知ってるもん
何回見たことあると思ってるの

“こいつがふっか、俺と同い年で～”
嬉しそうに自慢げに話していた翔太を思いだす

『っあの、ほんとにすいませんでした！』

目の前の彼が心配そうにしながら
なにか口を開きかけたのを遮って謝る

この場からすぐ立ち去らなきゃ

それだけしか考えられなくて
道に散らばった荷物を慌ててカバンにつめこんで
もう一度だけ頭をさげて立ち去った

・

帰りの電車に乗ってから気付いた

“ふっかさん”は私と面識ないんだから
あんなに慌てる必要なかったのに

荷物も一緒に拾ってくれたのに
ろくにお礼もできないで申し訳なかったな

そう思うと同時に翔太のことになると
こんなにも動揺してしまう自分に苦笑するしかなかった