私が思い出すあなたは私を愛しているよ【青】 (ページ32)

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渡辺side

樹「で、しょっぴーはどうしたいの？」

『いや、どうしたいっていうか……』

樹「それだけずっと動揺しっぱなしなのが俺にはもう答えだと思うんだけど」

『でももうAには違う人がいるかもしれない。
　結婚しててもおかしくない年齢だし』

樹「仮にAさんが結婚してたとして、」

『おい樹。勝手に名前呼ぶなよ。』

樹「いや元カレの立場でその嫉妬はこえぇわ」

樹の正論に思わず自分でも驚く

最近ずっと、いや多分この5年間
何度もAを思い返す瞬間はたくさんあって
どれだけ他の女の子と遊ぼうが
俺の中で一番大事な存在は多分5年前からずっと変わっていない

こんな言い方したら、すげぇ都合いいやつって思われるだろうけど

樹「えーと、なんだっけ。
　そう、だから仮に結婚してたとして元カレにもらったチケット普通持ってないだろ」

『それは分かんないじゃん』

樹「じゃあ質問変えるけど。
　なんでしょっぴーは後悔してんの？」

『……え？』

樹「正直俺だっていろんな子と遊んでるし
　それなりに付き合ってきた女の子もいるけどさ
　今までの自分振り返って、後悔してることなんて一つもないんだよね」

『お前いつか刺されるぞ』

樹「俺のことはいいんだって。
　 5年前のことを後悔してるほどAさんが大事なんでしょ？」

5年って言葉にするよりずっとずっと重たかった

傷つけたのは間違いなく俺で
Aにとってもう思い出したくもない過去なんじゃないかって
こんな俺なんかより他の奴と結婚して赤ちゃん作って
普通の生活したほうが幸せに決まってる

そう分かっているのに
どうかまだ幸せになんてなっていないで、なんて
俺はどこまでずるい男なんだろう

できることなら
この手で君を幸せにしたいって
何度も何度も思ってんだよ…

樹「いいんじゃないの？
幸せにできるのがしょっぴーしかいないかもしんないじゃん？」

ずるい男上等、と言って
目をくしゃくしゃにして笑う樹

うなずいた俺を見て満足そうに笑って
やっぱり恋愛マスターは違うなぁって自画自賛してる樹に
テーブルの下から軽く蹴りを入れてやった