Adagio Cantabile 2 (ページ8)

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Be an idol(🦔と🦇) ページ8

🦔の最後のワガママの話。
🦇視点

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芸能人ってもっとすごい豪勢なホテルみたいな病室に入れられるのかと思ったわ、なんて軽口をたたきながら、彼は真っ白いベッドから俺を見上げて笑った。

ドラマか感動ドキュメンタリーでしか中々聞かぬような病名が髙地に与えられたのは、今からだいたい3ヶ月ほど前のこと。そして昨日、新たに彼が言い渡されたのは、その生命の期限についてだった。
脚本なら『展開が早すぎる』とNGを出されそうなほどに、あまりに急で、あまりに救いのない話。

「悔しいよ。悔しいし、怖えし、なんで俺なんだよって腹もたつけどさ？――なんかね、吹っ切れてきたんだよね」

普通より少し広いくらいの小綺麗な病室は何処も彼処も白く塗られていて、髙地が着ている紺色のパジャマと、その胸元から覗く赤や黄色や緑のコード類がやたらと目立って見えた。ここ数十日の入院生活ですっかり痩せてしまった身体を積み重ねた枕にあずけて、彼は語り始める。

「SixTONESが大好きで何より大切なのは勿論そう。それはずっと変わんない。でも、俺はお前らと一緒におじいちゃんにはなれないし、それどころかあと半年だってまともに生きていられるかわかんないじゃん？……それなら、最期の最後まで、一番近くでお前らを――SixTONESを、全身で感じながら死にたいよ」

「……髙地、」

「――これは俺のワガママ。多分ラストのワガママになると思うからさ、大我……聞いてくんない？」

瞬きをひとつした後、彼の大きな瞳が俺をじっととらえた。

「あのさ、――」