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醒めない(🦓と🦁) ページ19
Xリクエスト企画��
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不規則で速い拍動をそのまま写しとった無機質な電子音と、酸素を送るための機械が漏らす微かな空気音。モニターのちかちかと光り続けるランプも、彼の蒼白い胸元から伸びるコードたちの原色も、それら全てが俺の耳と目から中身のやわい部分へ入りこんでは責め立てるように刺さってくる。いたい、ぐちゃぐちゃの俺の心なんて容易く潰れてしまいそうなほどに。
――病室へ着いたときは、元気そうだった。『樹、来すぎだよ！ 俺の事そんなに好きなの』なんて、茶化すような、DAHAHA！ ってテロップが見えちゃうみたいないつもの笑顔。
どうでもいいお喋りを始めたあたりでも、まだ普通の様子だった、と思う。彼はベッドに、俺はその横に寄せたパイプ椅子にそれぞれ座って、サイドテーブルに肘をつき他愛もない会話を繰り広げていた。昨日こーちが出ていたバラエティー番組の感想だとか、北斗の新しい髪型の話だとか。
――俺が彼の様子に違和感を覚え始めたのは、ほんの少し前。本当に、ついさっきの事だったのだ。
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作者名：灰 | 作成日時：2023年12月11日 23時
