Adagio Cantabile 2 (ページ2)

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再発のことをメンバーに伝えるのは、3年前、最初の病気発覚時よりもはるかにハードルが高いことのように思えた。そりゃあそうだ、あの時はまだ何割かは治る希望をもてたけれど、今の俺にはそれが無いのだから。レギュラー番組の収録終わり、各々が帰り支度を始めるところを意を決して呼び止めた。――笑えるくらい不格好でたどたどしい俺の話を、5人は誰ひとりとして遮らずに最後まで聞いてくれた。俺は結局泣いてしまったから皆の顔が良く見えなかったけれど、俺の手を握ったジェシーの掌はとても熱くて、『なんでなの』と叫んだ慎太郎の声は濡れていたようにも聞こえた。フードを深く被ったままの樹にわしわしと頭を撫でられ、髙地の震える手が『話してくれてありがとな』と俺の肩を抱いた。『どうやっても、治らないの』と京本の小さな声がして、俺は是を意味する一言だけを返した。それが精一杯で、そうするしか出来なかった。

俺は“無期限”の活動休止に入った。
理由は『体調の悪化』、それしか話さない方が良いと事務所からは言われたけれど、これまで応援してくれた人達を欺くようなことはどうしてもしたくなくて、ブログでほんのすこしだけ、俺の身に起きた出来事について書かせてもらった。ファンクラブへの動画を撮り、直筆の手紙を書き終えて――公表されたその話題がワイドショーで取り沙汰されるのを、俺は自宅に設置した電動ベッドからぼうっと眺めていた。

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