page10 ページ10
−Aside−
翌日の昼になった
「ふひぃ、疲れた！」
私は思わずガタッとテラスの椅子に座った
近くの窓からは総合病院の周りに並ぶ
いわゆる高級住宅街がずらりと見える
ここインフィニティ総合病院には
テラスと食堂があって
医師も看護師も、そして患者さんも
気軽に立ち寄ることが出来る
今日は皮膚科の横山さんのサポートにまわって
その後に整形外科の錦戸さんのもとへ...と
行ったり来たりを繰り返すもんだから大変！
「うぇー...い...」
そんな女子が言わないであろう
変なため息をつきながら腕に顔を伏せていると
「Aちゃーん？」
名前を呼ばれ、思わず顔をあげる
近くに錦戸さんの顔があった
「ひぇっ！？」
錦「ちょ、ひえっ！？ ってなんなん」
錦戸さんが頬を歪めて笑いながら
私と向かい合わせに座った
だって...びっくりしたんだもん
錦「お疲れ様。
やっぱ看護師1人っちゅーのはきついやろ？
大変な思いさせてごめんな」
コトッ
私の目の前にはアイスコーヒーが入ったコップ
「そんな謝らないでください
辛いの覚悟で看護師になったんですから」
"いただきます"と言って
コーヒーに口をつける
錦「ふはっ、そうなんか
...Aちゃんは頑張り屋さんやな」
錦戸さん...笑うと目の端が
キュッと細くなって可愛いな
そんな乙女みたいなこと考えていると
錦戸さんは少し顔を近づけて
こんなことを話題に出した
錦「...Aちゃんはさ
ここの病院何か変だと思わへん？」
...え？
「変...と言うと？」
錦「いや普通に考えて看護師1人だけなんて
Aちゃんの負担が多すぎるってことや」
「でも今まで看護師がいない間も
普通に診療していたんですよね？」
錦「まあ俺ら医師のメンバーが優秀やから
多様な仕事をこなせられたってのもあるな」
そう一息つくと
錦戸さんも自分のコーヒーを口に運ぶ
錦「俺ら目当てに来る女性患者が多くて
今まで皆、看護師とりたいなんて
全然思わんかったんや」
私は昨日の村上さんの診療を思い出す
...そうだったんだ
錦「でも去年、ここの病院の院長が
1人だけ看護師募集するとか言い始めて
何故か...Aちゃんを推した」
「わ、私を？」
こんな就職したてほやほやの私をどうして...
錦「院長の意図はわからへん
せやけど、今はAちゃんには看護師として
これからも働いて欲しいって思ってるんや！
メンバー7人全員も思ってるで」
錦「応援しとるから」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トン助。 | 作成日時：2015年4月17日 22時
