天才棋士に教えてもらう (ページ6)

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ちゃんと覚えてきた。

今日は行こう。幸い数学も体育もなかった。多分落ち込むことはない。

そう思うと楽しくなってきて、一日があっと言う間に感じられた。

授業が終わり、待ちに待った放課後！

テケテケテケ

足取り軽く部室に向かう。

もうすぐ部室につく、と思ったところでピタと足が止まった。

悪口が聞こえたとか、お化けがいた、とかではない。心に、ふと疑問が浮かんだのだ。

私は昨日部活をさぼったのに、ここにきていいのか？

昔、小学校で入っていたクラブで、気持ちが落ち込んでしまって休んだことがあった。

次の日、クラブに行こうとしたとき、会話が聞こえてしまったのだ。

「Aちゃん。休んだよね。」

「クラブで出されてた宿題やってくるの忘れたから休んだんじゃない？」

「あ～、あり得る。」

「みんなやってきたのに一人だけさぼるのずるいよねぇ。」

「ね～」

偶然だったんだ。本当にたまたまその日に気持ちが落ち込んでしまって、あのままだと二度と立ち直れない気がして休んでしまったのだ。

多分将棋部のあの人たちはそういう人じゃないと思う。男だし、私のことどうでもよさそうだし。

でも、でもこの記憶が引っかかって足が前に出ない。まだあの二人の本性を見ていない。あの二人の本気を。だから悪口とかを言わないとかも保証がない。

い、今帰ったら、もし悪口言ってても私は知らないし、傷つかないですむ。

か、帰ろうか―――

「何やってんの？」

一番聞きたくない声が、私の背中に響いた。