44. 瞬き。 ページ46
(2012.01)
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響く車のエンジン音。
騒がしい東京の街の真ん中を通り過ぎる私たちの車内は沈黙に包まれていた。
マネージャーさんは緊張の面持ちでハンドルを握る。その後ろで私は静かに外を見つめた。
「いよいよですねAさん……。」
赤信号で車が止まり、マネージャーさんが声をかける。その言葉にゆっくり微笑んで水を含んだ。
私は今日お兄さんと会う。
ただの女子高生じゃなくて仕事の相手として。
柄にもなく落ち着かない心に苦笑いして、深呼吸で落ち着かせる。
これから、どうなっていくのかな。
そんな不安が過る。
押し殺すように、私は目を閉じた。
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「Aさん。着きましたよ。」
その声と肩を揺さぶられる感覚で目が覚めた。
気がつけば目的地に着いていたらしい。
車を降りると目の前に大きなビル。見上げるほど高い場所に"Johnnys"という文字が。
改めてみると凄い迫力だな………。
隣で完全に萎縮してしまってるマネージャーさんに『行こっか』と声をかけて中へ入った。
フロントの方に声をかけると会議室に通され、ゆっくり扉を開けると、
「あっ、Aちゃん！」
『ヒロイズムさん……！こんにちは。』
「こんにちは。早かったね。」
『ヒロイズムさんこそ……。本当は1番に来ようと思ったんですけど、先越されちゃいましたね。(笑)』
「あはは。(笑)」
談笑していると、少しだけ気分が落ち着いてきた気がする。緊張してるのには変わりないけど、だいぶよくなった。
するとジャニーズ事務所のスタッフさんがNEWSの皆さんが到着したと教えてくれた。
それにまた心臓がドキッと跳ねる。
完全に感情が迷子で、ジェットコースターに乗ってるみたい。鼓動がバクバクと煩い、
すると、ガチャと扉が開いた。
「NEWSさん入られまーす。」
さっきのスタッフさんがそう言って扉を開けた。ゆっくり入ってきた男性。その一連の流れがスローモーションみたいに永遠に感じてしまう。
帽子を被った背の高い男性は、ぺこりとお辞儀をした。
「初めまして、NEWSの小山慶一郎です。」
目が合った瞬間、小山さんはパチパチと瞬きを繰り返す。
その仕草に苦笑いした。
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作者名：aki | 作成日時：2020年8月27日 1時
