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▼真夜中の電話。 ページ8

(2020.06.19)

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真夜中の薄暗いワンルームが今日は何故か妙に居心地よく感じられた。明かりも付けずに窓の外を見ると月が光っているのが見える。今にも消えてしまいそうなのに。

どうしようもなく気が落ち込む夜がある。
そんな時に作業部屋であるこのワンルームに来て一人でぼーっとする。そうすると少しだけ心が落ち着くんだ。


ふと、ケータイが震えだした。
表示された友人の名前に一瞬出るのを躊躇ってしまったけれど、心をグッと押し込めてそれを取る。







"もしもし?"



『………どうしたのトモ』



"今大丈夫だった?"




『うん。大丈夫』








落ち着いたトーンでゆっくりと話し出す友人は言葉を選んでくれているのか"あー……"と考える様に呟いた。気を遣ってくれているのが分かるから心がギュッと掴まれて苦しい。

そんな風にさせたい訳じゃないのに








『トモ、ごめん。』



"………Aが謝る事じゃないじゃん"



『でも、ごめん。………ごめんね、』









貴方に託されたもの、ちゃんと守れなかった。



私がNEWS(彼ら)を守るって

約束したのに




脱力するように床に寝転がる。

体に力が入らなくて、そのまま目を閉じたら永遠に眠り続けてしまいそうな気がした。









『…………何でだろう、』





"………何が?"






『何で、皆んな変わっていくんだろう』









独り言のように呟いた言葉は宙に浮かんだ。




床に転がった酒瓶を眺める。




明日になったら、全てが真っ白になって
また皆んなで笑っていられればいいのにって。



そう願っているのが私だけだとしたら

どんなに虚しい事だろうか。









"皆んなそうだろ"




『え?』




"変わったし……変わり続けてるよ"









そうだね、



皆んな確かに変わってるし


確実にカタチを変えて前に進んできた。









進めてないのは、多分、私だけ。









虚しさが胸を締め付けて離さないから込み上げてくる涙も全部溢れてしまって、私は小さな箱の中でただ嗚咽を吐き出しながら声を上げて泣いた。




画面の向こうの彼がどんな顔をしているかは知らない。






それでも私は泣き続け








彼は黙って聞いてくれていた









.

▽夢のはじまり。→←▽



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momo - ほんとにこのお話大好きです! なので、またいつか更新してくれるのを待ってます! (2021年4月7日 11時) (レス) id: 0a3381035e (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 面白いです!続きが更新されるの待ってます。頑張ってください。 (2020年10月15日 10時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん - 大好きです! (2020年8月19日 22時) (レス) id: 808257ca1e (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - FFZSKRsocO4pADaさん» コメント有り難う御座います!頑張ります(*´-`) (2020年8月14日 23時) (レス) id: d967e47327 (このIDを非表示/違反報告)
FFZSKRsocO4pADa(プロフ) - 続きがきになります。更新がんばってください (2020年8月14日 18時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aki | 作成日時:2020年8月8日 14時

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