▼半分こ。 ページ17
(2020.06.21)
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静かに一筋の涙が流れた。
握った彼の手に力が篭る。
それを受け止めながら私も泣きそうになった。
『………行かないよ。どこにも』
握った彼の左手に私の右手を重ねた。
下を向いたまま動かない彼は声も上げずに泣いている。彼の酷く傷んだ心臓がゆっくりと呼吸をして時折りひゅう、と音を立てた。
ゆっくりとその体を抱きしめれば驚いたのか少しだけ体がピクッと反応した。大きく広くなった彼の背中に腕を回す。
『こうすれば安心しない？』
「………ん」
『一人じゃないって思える』
貴方の温もりも、私の温もりも
全部溶けて混ざり合ってしまえば、怖いものなんて何もない。貴方が近くに居ると感じられる。
『どこかに行っちゃうなんて……そんな心配してたの？』
「………当たり前だろ」
『ははっ、可愛いなぁ増くんは』
「………こんな時だけ年下扱いするなよ」
わさわさ、と頭を撫でると私の肩にグリグリと頭を押し付ける増くん。拗ねてしまったのかそのまま動かないから、彼の背中をリズムよく叩く。
するとジト目でこちらを見る増くん。
「俺は赤ちゃんかよ」
『え、違うの？』
「………もういい」
『ごめんって。拗ねないでよ……www』
「しらなぁい」
言い方が拗ねた子供みたいなのに本人は気づいてないのかなぁ。これだから弟扱いしてしまうのに。
繋いだ手を握ったままバーボンウイスキーに口つける増くんは大人なのか子供なのか分からない。さっきまで泣いてた人とは思えないんだけど。
誰が一番、なんて無いけど
ずっと隣に居た相棒を失った彼が酷く落ち込んでいる事は気づいていた。
昔なら多分……お互いにそっとしてた。
だからこうして彼が私を訪ねて来た事はとても深い意味があると思うんだ。
同じグループのメンバーとして。
今こそ、一緒に越えていかないといけないんだと思う。そしてここが正念場だと。
一人だとずっと泣いていたかもしれない。
だけど今は、増くんが居て
慶ちゃんもシゲも居る。
心配して声をかけてくれる事務所の先輩、後輩。
私は本当に沢山の人に支えられている。
だから、ここで立ち止まってちゃダメなんだ。
.
続く
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momo - ほんとにこのお話大好きです！ なので、またいつか更新してくれるのを待ってます！ (2021年4月7日 11時) (
レス) id: 0a3381035e (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 面白いです！続きが更新されるの待ってます。頑張ってください。 (2020年10月15日 10時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん - 大好きです！ (2020年8月19日 22時) (レス) id: 808257ca1e (このIDを非表示/違反報告)
aki(プロフ) - FFZSKRsocO4pADaさん» コメント有り難う御座います！頑張ります(*´-`) (2020年8月14日 23時) (レス) id: d967e47327 (このIDを非表示/違反報告)
FFZSKRsocO4pADa(プロフ) - 続きがきになります。更新がんばってください (2020年8月14日 18時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aki | 作成日時：2020年8月8日 14時
