45話 ページ48
「A…お前、異世界人だったのか！？」
ルフィは目を輝かせる。ゾロもいつもになく驚いている様子だった。墓場まで持っていく覚悟で隠し通してきたつもりだ。でも、いざ知られて…私はグッと胸に罪悪感ともう隠さなくていいのでは？という安心感が押し寄せるのを感じた。
「…関係ねェよ。お前が異世界人だろうと、お前はお前だ」
ゾロは私を見てそう言った。皆ならそう言ってくれると分かっていたが、実際に耳にすると心が軽くなった。
…
ロビン達と連絡を取ることに成功した。ロビンとウソップ、そして小人たちとレベッカという女の子、人喰いのバルトロメオが一緒にいるらしい。ルフィは皆にドフラミンゴを倒すと宣言した。連絡を取り終えると直ぐさま、ゾロとトラ男を担いだ。
ルフィは私にも手招きをする。担がれろということだろうか。
「麦わら屋！そいつは置いていけ。奴が欲しがるそいつをわざわざ連れていくことはない」
トラ男は突然そんなことを言い出した。足手纏いと言いたいのだろう。だが、それを言うなら、今のトラ男の方が海楼石で繋がれて私以上にずっと何もできない筈だ。
「…全員命を狙われていることに変わりはない。私だけここに残れってのはおかしいだろ？」
「怪我も負ってる。残していくべきだ」
このくらいの怪我…と言いたいところだが、これに関しては何も言い返せなかった。この世界の住人にとっては何ともない怪我が異世界人にとっては致命傷となることが分かっているからだ。
「そうは言うが、Aはお前が思うほどヤワじゃねェぞ」
ゾロはそう言った。ルフィは少し考えてから、答えを出した。
「トラ男はAのことを心配してくれてるんだろ？なら、トラ男の言う通りにしよう！」
心配って…それは違うと思う。確かに良い人ではあるが、所詮同盟だと馴れ合いなんてしないという雰囲気を醸し出していたトラ男がそんなことを思う筈がない。でも…もしかしたら、ドフラミンゴから私の話を聞いて、同情してくれたのかもしれない。
ボーッと考えているうちに、ルフィ達は出発してしまった。
私もできることをやろう。
王の台地の土で私より少し大きい踊る埴輪を作っていく。
いつもより、しっかり…想いを込めて…
…
「完成っと…」
私の奥の手…2年の修行の成果
「造形術 人為る
埴輪の肌は土色から温かみのあるペールオレンジへと変化し、金の髪が揺らめく。
「おはようございます、A様」
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作者名：あんころ | 作成日時：2021年6月20日 18時
