誂えられた異世界人 (ページ5)

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4話ページ5

目を瞑っているが、いくら待てど衝撃は来ない。

「？」

というか、腰に誰か人の手が当てられている。

恐る恐る目を開くと…冷酷な瞳が私を見ていた。

その目が恐ろしくて、私は咄嗟に腕を振り払い、距離を取る。

すぐさま振り返り、その人物を見る。すらっとした長身の男で、腕や手の甲に刺青がある。私の身長くらいありそうな刀を肩に持ち、そこら辺にいる海賊達とは異なる異様な雰囲気を醸し出している。

この島に来る前に新聞で見た男だ…

「死の外科医、トラファルガー・ロー」

「なかなかの身のこなしじゃねぇか。麦わら屋の一味の造形屋」

「え？子供じゃないの？」

手配書の写真は戦闘中の写真だから、普段と雰囲気が違いすぎて今まで気づかれたことがないのに…

この狭い場所で自分の素性も知られて、ジワジワと追い詰められていると錯覚させられるる。

確かコイツの首には2億ベリー掛かってたはず…私の4倍だ。懸賞金は強さだけを表すものではないが、勝てる気がしない。どうやら、シロクマも仲間みたいだし…私は圧倒的に不利だ。一瞬息が止まりそうな程の殺気を感じ、震える手をぎゅっと握りしめる。

「…」

「そんなに警戒するんじゃねぇよ。別に取って食いやしねぇ…」

そりゃ、取って食われるとは思ってない。でも、そんな軽口を口にする余裕は今の私にはなかった。