誂えられた異世界人 (ページ4)

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3話ページ4

結論から言うと、シロクマはなかなか見どころのあるシロクマだった。ミンク族という種族で動物だけど、二足歩行で喋る種族らしい。故郷が新世界にあるらしく、今はお兄ちゃんを探して旅をしているそうだ。オレンジ色のツナギにはジョリーロジャーが描かれてあるから、海賊として旅してるんだろう。警戒するに越したことないが、流石にこんな素直なシロクマ
を警戒するのはなんだか罪悪感が湧いた。

「オレは船で航海士をやってるんだ」

クマが航海士…いやいや、うちもトナカイが船医だし、何もおかしいことはない。何事も先入観に囚われてはいけない。

「それは凄いな。私は古生物学者なんだ」

「古生物って…恐竜とか？」

「そーそー！」

私がそう言ってやると、シロクマはつぶらな瞳をキラキラと輝かせた。癒されるなぁ…チョッパーもそうだけど、動物ってリラックス効果抜群だと思う。

そこから10分くらいは互いに語り合った。なかなかそれは楽しかった。

そう言えば…ロビンもこの本屋好きそうだな。なんかいい本ないかな？

「ちなみにさ、考古学の本って何処にあるの？」

「あそこの1番上だよ」

私は上を見上げる。あれは…脚立がないと届かないな。シロクマはオレも届かない…とシュンとなった。肩をポンポンと叩いて慰めてやると、お前優しいなと言われた。

どうやって取ろうか悩んでいるとシロクマが嬉しそうに駆け寄ってくる。

「ここに脚立があるよ！」

「おお！ありがとう！」

早速脚立を本棚の前に置く。それにしてもこの脚立…古いな。私の体重でも耐えられるのかと不安になる。

ミシミシと音を立てながら登り、御目当ての本棚に近づく。あ、これロビンがウォーターセブンで探してたけど無かったやつだ。これなら、喜んでくれるはず…

私は左手で本棚を掴み、右手を伸ばす。

「ん〜…届かねぇ…」

「ガンバレ！もうちょっと！」

シロクマの可愛らしい応援を聞いてもう一度。今度はちょっとバランスが危うくなるけど、背伸びをして…

「何やってる、ベポ」

突然、知らない男の声が聞こえてバランスを崩しそうになる。流石にヒヤリとした。ホッとしたのも束の間…

「あ、キャプテン！そこ危ない！」

角を曲がってきた誰かが脚立を蹴ってしまう。

ガンッ

「…ッ！」

「！」「あっ！」

脚立が倒れ、私も重力に逆らえず、地面へと落ちていく。衝撃に備え、目をギュッと閉じる。