26話 ページ28
おぼつかない足取りで囚人達の前へ出る。
そして、大きく息を吸い込んだ。
「お前らが騙されていたことには同情する！
だがな、騙されて、自分達は不幸だ、哀れだ…と悲観し、生きることを諦め、終いには私達と戦って何になる？
シーザーはルフィによって倒された！
誰がお前達の生を脅かす？
自由を手にするには、あとは毒ガスがここを埋め尽くすまでに脱出するだけだ。
年端もない子供だって生きようとしているのに、大の男がグズグズすんな！
お前達はうわべだけの偽善で塗り固められたマスターが居ないと生きていけないほど軟弱な人間なのか？」
「んな筈ねぇだろ！」「喧嘩売ってんのか？」
1人が反発の声を上げれば、次々と私の言うことを批判してくる。
「なら、証明してみせろ！」
うぉーと囚人達は雄叫びを上げ、ウソップにゲートの操作の仕方を説明したり、負傷を助けに行ったり…各々ができることをし始めた。
流石に、あの状況で大声出し過ぎた。視界が霞む。頭痛が酷くて、吐きそうだ。
「おい？A！」「姐さん！」
姐さんってタイプじゃないのに…
最後にそんなことを思いながら、意識を落としていった。
…
なんだか…あったかくて、風が気持ちいいし、波の音も聞こえる。
疲れたし、このまま眠っていたい。
でも…何か忘れているような…
そうだ！
「ど、毒ガス！」
『！？』
飛び起きたが、私がいるのは研究所内ではなく、サニー号の甲板だった。
パンクハザードという名の島で毒ガスに追いかけられていたような気がする。
「あれ？夢か……おやすみ〜」
『寝るなー！』
…
残念ながら、さっきのは夢ではなかった。
私は研究所で倒れてそこからずっと意識がなかったらしい。私は島に立ち寄って、大きな戦闘がある度に大怪我を負うという前科ものであるため、今回のこともキツく叱られた。「今回は外傷なしなのに」と言ったが、「脳を酷使し、倒れる技なんてあり得ない」とのことでこれからは使い所を考えるように言われた。
「Aも起きたし、作戦教えろ！よし、皆集まれー！」
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作者名：あんころ | 作成日時：2021年6月20日 18時
