誂えられた異世界人 (ページ38)

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35話ページ38

海軍の軍艦が島にあった。ロビンによると今しがた来たばかりだろうとのことだった。言い知れぬ不安感が募る。そんな中でも時間は刻々と取引の時間に近づいていく。

「あと15分だ…お前らの狙撃と諜報で俺の援護を頼む。誰が潜んでるか分からねェ。森に異常があったらすぐに連絡を」

「えぇ、分かったわ」「了解…」

「ちょっと待て！海軍がいるなんて予定外だッ！」

ウソップは文句を言いながら、渋々というようにロビンの後を追う。そして、私もその後を追った。

森に入ってみてすぐに気づいたことがある。それは粘土質の土は改良されているということだ。誰かが手入れしているのだろうか。分からないが、埴輪を作るのに良さそげな土なので存分に利用させてもらうとしよう。

数体の30センチくらいの埴輪を能力でパパッと作り、何か見つけたら知らせるよう指示を出す。埴輪達はピシッと敬礼をしてからバラバラに散っていった。

ウソップとロビンと逸れてしまったのに今更気づいたが、埴輪くん達が見つけてくれるだろう。巨大なツルに登ったりして、上から様子を見てみたりしたが、海軍以外何もなさそうだ。

…

「ハニハニ！」(A様！下りてきて〜)

埴輪の私を呼ぶ声がして、急いで下りてみると…

頭の上に2人の小人を乗せた埴輪くんがいた…

「貴女様が武人埴輪さんの主君であらせられる埴安姫様れすね！」

「私達、トンタッタの民にそのお力をお貸しいただけませんか？」

カブトムシっぽい小人とハチっぽい小人がペコリと丁寧に頭を下げた。私は若干顔が引きつっているのを感じながら、埴輪くんの方を見た。

「ハニニ…」(てへへ…)

貴様の仕業か…

私は大きなため息をついた。ダメだと分かりながらも、話だけでも聞くことにした。ここまで目を輝かせながら頼まれたら、無碍にできない。話を聞くだけ…そう言い聞かせる。

「こちらへ！私達の国、トンタッタ王国へご案内致します」

「いや…ちょ待って…」

この場で済ますつもりが、ものすごい力で1人には手を引かれ、1人には背中を押される。

ウソップ、ロビン、トラ男…3時までに戻れそうにないです…

最後に埴輪にそれを伝えるよう指示し、この流れに抗うことを諦めた。