誂えられた異世界人 (ページ34)

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32話ページ34

私は注文したアイスココアを飲みながら、街を眺めていた。

街には沢山のオモチャが動き、話し、人と同じ様に生活をしていた。その様子はツクモ島で見た光景を思い出す。とは言え、ツクモ島は人に捨てられ、人に恨みを持つ道具が恨みを糧に命を得て、人の姿となる付喪神達の島なので、この島とはまた異なる。

このオモチャ達は一体何なのだろう？

私はツクモ島で覇気やハニハニの実の能力の向上以外に別の力を得た。それは、付喪神達から教えられなければ、得ることのできない力…道具の声を聞く力だ。

…ツクモ島での回想

「いい？道具っていうのは人の手で作られているから道具なの。

人は考えも無しに道具を作らない。

つまり、道具には必ず作られた意味がある。
その意味というのは、製作者の人の為に…社会の為に…という願いよ。今並べたのは、綺麗事ばっかりだけどね。

その意味により、道具は心を得て、製作者が道具につけた意味が道具にとっての義務となるの。

義務と言えば、聞こえが悪いけど…使用者が幸せだと感じるなら、道具も幸せなの。だから、私達は使用者のために頑張る。

ここまでで何が言いたいかというと…どんな道具でも、心があるってことよ！」

いや…全然話が繋がってる様に聞こえないんですけど…

「お…おう！」

「だから、私達みたいに付喪神となっていなくても、話はできるの！Aが能力で作り出した埴輪と話ができている様に！私はこれから、それをAに叩き込む！」

「えっと…頑張ります」

…回想完

「…」

オモチャだって道具…なのに、この国の道具からは付喪神達が言ってた様な‘使用者の為に’という義務があるように感じない。それどころか、私には彼らが道具には見えない。人から作り出されたものではないように感じた。

気になって仕方ないので、ロビン達がグリーンビットの情報を集めている間に、ココアの入ったグラスに尋ねることにした。

…ここのオモチャは一体何なの？…

…オモチャのことか、教えてあげたいけど、僕らもよく分からない。気づいた時には溶け込んでいた。でも、言えることは一つ。彼らは僕らのような道具じゃない。道具なら、僕は彼らとお話しできる筈だからね…

…そっか、教えてくれてありがとう…

「さっきから、何してる？」

会話を終えたところで、トラ男の低い声が降ってきた。

「あー…こいつはグラスと喋ってるだけだ」

「？」