誂えられた異世界人 (ページ32)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:79,601 hit

30話ページ32

「今から8時間後、ドレスローザの北の孤島グリーンビット南東のビーチだ！午後3時にシーザーをそこへ投げ出す。勝手に拾え。それ以上の接触はしない」

「フッフッフッ！寂しいねェ。成長したお前と一杯くらい」

「切れーこんなもん！」

ガチャ…

力が抜け、座り込みそうになったのを持ち堪える。
たった数分だというのに、この疲労感はなんなのだろう。

それだけあの男は私にとって恐ろしい存在だというのか…

「相手の人数指定をしてねぇぞ！相手が一味全員引き連れてきたらどうする！！」

サンジの意見は最もだ。流石に取引現場に一味勢揃いで、待ち構えられれば、向こうはどうとでもできる。地理的にも不利な私達にとっては最悪の状況と言える。

「いや、それでも構わねェ…既にこの作戦においてシーザーの引き渡しは囮のようなもんだ」

「じゃあ、その隙にスマイルの工場を潰す方が目的ってことか？」

「あぁ、だが、それがどこにあるか分からねェ…

そこだけ…どうしても情報を得られなかった」

「敵の大切な工場でしょ？何か秘密があるのかもね」

工場の破壊が真の目的ってことか…でも、何故か引っかかる。この作戦は私達が一時的にスマイルを製造できないように工場を破壊し、百獣海賊団へ流れるスマイルを止めること…のように見える。だが、これは百獣海賊団の戦力を削ってはいない。これ以上戦力が大きくならないようにしているだけ…

実際、スマイルの工場を破壊することで一番困るのは…ドフラミンゴだ。カイドウがどれほど非道なのかは知らない。だが、噂を聞くには気性が荒く、冷酷無比な人物だと聞く。ドフラミンゴがスマイルの取引ができなくなったと分かれば、カイドウの怒りの矛先はドフラミンゴへと向かう。魚人島のお菓子工場でビックマムがお菓子の納入ができないと知るや否や、魚人島を滅ぼそうと考えたように…

そうなれば、ドフラミンゴの海賊団と百獣海賊団で潰し合いになる。そして百獣海賊団の戦力は大幅にダウンする。非の打ち所のない作戦だ…が、嫌に引っかかる。
変な感じだ。そもそもなんでドフラミンゴを怒らせる必要がある？私にはわざとドフラミンゴに喧嘩をふっかけているようにも思える。ここまで考えられているなら、もっと他にもあっただろうに…