28話 ページ30
「ジョーカーはもう終わりだ。こっちは次の一手に動く。ドレスローザのどこかにスマイルの製造工場がある」
「…それを見つけて潰せばいいのか」
「その通り…敵は取引のプロだ。油断はしない」」
つまり言えることは、ドフラミンゴと正面対決になってもおかしくないということだろう。また、七武海と関わるのかと思うと、気が重い。
…
ローside
一通り作戦とその説明を伝え終えたところで、麦わら屋が造形屋を羨ましそうに見ているのに気づいた。パンクハザードでは造形屋の意識がないことを知り、気が気でなかったが、あの様子なら大丈夫そうだ。
「あ！A、お前…何一人でうまそうなもん食ってんだ！」
麦わら屋に釣られ、骨屋もズルイですよと言っている。コイツら…ガキか？恐らく、造形屋は脳の回復のために糖分を取っているだろうに、それをテメェらが食う必要がねェだろ…
「おれも食いてェ！」
麦わら屋がそう言うと、造形屋は折れたのかチョコレートをフォークに刺して麦わら屋の口元に持っていく。
「くれんのか？」
「欲しいって言ったのはルフィだろ？」
まさか…アイツら…そういう関係だったのか？
いや、今そんなこと考えてどうする？
作戦に集中しろ。
「どうした？トラ男」
様子がおかしいとバレたのか、ゾロ屋が声を掛けてきた。この際だ、聞いて仕舞えばいい。
「アイツらはデキてんのか？」
俺がそう聞くと、ゾロ屋はポカンとした顔になり、大笑いし始めた。近くにいたナミ屋やニコ屋まで笑う始末だ。何がそんなにおかしい？
「そりゃ、ねぇな。ありえねぇ…」
「ルフィはAに甘えてるだけよ。Aは優しいから、大抵のことで怒らないもの」
「恋愛のれの字も知らないアイツらがそんな筈ないわよ。あっても、姉弟みたいな感じに見えてるんじゃない？」
気になってしまった自分が馬鹿らしい。そしてニコニコ笑みを浮かべながら、答えてきたコイツらに少し腹が立つ。
「まぁ、仕方ないんじゃない？そう思うのは無理ないわ…多分」
最後の多分は余計だ。
「嫉妬か？」
俺は嫉妬なんざしてねェ…
考えていた同盟とはかけ離れていやがるし、どいつもこいつも予想外のアクシデントばかり持ち込み、作戦は聞かねェし、何よりこの緊張感のない雰囲気…
コイツらと同盟を結んだのは間違いだったのではないかと既に後悔していた。
造形屋の顔を見るだけで、そんな考えすらも吹き飛んだが…
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作者名：あんころ | 作成日時：2021年6月20日 18時
