誂えられた異世界人 (ページ20)

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18話ページ20

話によると、サングラスの男は海軍G-5の基地長ヴェルゴ中将であり、子供達の誘拐事件はこの男に揉み消されていた。この男はずっとジョーカーと呼ばれる裏社会のブローカーの部下で、海軍にスパイとして潜入していたのだ。

お陰で納得がいった。ジョーカーと言えば、裏社会を牛耳る闇深き男だ。ジョーカーなら、四皇と繋がっていてもおかしくはない。シーザー・クラウンとヴェルゴ、そしてジョーカー…そこが繋がれば、トラ男がシーザーの誘拐の目的である混乱の意味も自ずと見えてくる。

ジョーカーを通して、四皇を誘き出すのだろうと。

伊達に2年間を修行だけに費やしてきたわけではない。あらゆる情報を掴む方法を私は得たのだ。

だから、ジョーカーという人物が誰かということくらいは知っている。

「おい、トラ男。さっき言ってたジョーカーって誰だ？」

「俺も昔…そいつの部下だった。だからヴェルゴを知ってる。ジョーカーとは闇のブローカーとしての通り名だ。だが、その正体は世界に名の通った海賊…王下七武海の1人…ドンキホーテ・ドフラミンゴだ」

ジョーカーの正体を知り、一同はざわめく。だが、ルフィは分かっていない様子だ。戦争で見たハズなのにね。

「誰だ？」

「戦争で見ただろ？サングラスかけてて、ピンクのふさふさのやつを羽織ってた男だよ」

ルフィはうーんと唸りながら、思い出そうとする。

「あ！思い出した。Aが戦ってたやつか…」

一応思い出してくれたらしい。私は戦争の時、主にルフィがエースを救えるようにサポートに回っていた。

異世界人は自然治癒力がこの世界の人間に比べ、格段に劣る。その為、この世界の人間にとって少しの怪我でも私達異世界人にとっては致命傷になり得る。だから、一度でも攻撃を受けることは許されない。攻撃を受けないようにする為に、私は回避に徹することが多く、2年前から見聞色の覇気を無意識に使っていた。それでルフィへの攻撃を予測しながら、手助けしていた。その時に、ドフラミンゴに目をつけられた。

かと言っても、私があの男に敵うはずもなく、何とか攻撃を防ぎ、避けるだけで手一杯だった。

だが恐らく、あの男が私に目をつけた理由が見聞色の覇気ではないだろう。

…多分あの時…

…あの男は気づいていた…

突然、部屋の奥の扉が開き、シーザーが部屋へ入ってきた。