名の無い恋に花束を！ (ページ7)

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だんだんと乱れていく呼吸
きっとまだ1キロは残ってる

最後では無いけれど少しずつ抜かされていく

平野くんはもうゴールしたのかな？

なんて考えながら足を動かす

すると

紫｢A｣

と私を呼ぶ優しい声がした

『平野くん！』

紫｢迎えに来た｣

『ほんとに来てくれるなんて…』

紫｢あたりまえだろ
　俺はAに嘘つかないよ
　ほら、あとちょっと一緒に行こ｣

『うん！』

平野くんはきっと何も意識してないんだろうけどそのささいな言葉がすごく嬉しかった

お陰様で大嫌いな持久走も無事完走

急激に仲良くなった私たちをヒソヒソと話す人たちもいるけど、そんなのなにも気にならなかった

『ありがとう平野くん』

紫｢こちらこそ。おつかれ｣

『おつかれさま』

紫｢水分とっておいで｣

自分だって疲れてるはずなのに配慮を忘れないなんて些細なことができるってすごいな

『平野くんすごく速くゴールしたんだね
　わざわざありがとう。倍走ってるよね』

紫｢俺体力だけは自信あるんだ｣

『うん。ありそう』

紫｢ほめてる？｣

『もちろん！』

平野くんはガタイがいい。なんというか

ゴリラ体型

紫｢なんか笑ってない？｣

『気のせいじゃない…？』

絶対笑ってるでしょ！なんて言葉を否定しながら進む時間

あの日の出来事がどんどんどうでも良くなった

でも私は平野くんのことをあまりしならい
でもそりゃそうだよね

昨日の今日でなんでも分かるなんてありやしないし

紫｢またぼーっとして｣

『ちょっと考え事してた』

紫｢そっか
　なんかあったらすぐ言えよ？｣

『うん。ありがとう』

紫｢ほら着替えねーと｣

『あ、ほんとだ』

連絡先、聞くにはまだ早いかな

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