拾いませんか。 [ar×in]

43話 ページ43

「…そういえば、二人はなんの仕事してるんですか？」

仕事仲間、って言ってましたよね、と伊野ちゃんが運転している圭人の方を見ながら言う。
　


「ダンサーですよ」


安全第一な圭人は、こちらに目線を向ける事もなく、
前を向いたままあっさりと答えた。



「え？！そうなんですか？



大ちゃんが、ダンサー…？」


何なんだ、その疑問形は。

そして、そのジド目で俺を見るな！


「本当だって！

…それに、ほら」


証拠写真もある、と、丁度手に持っていた自分のスマホの電源ボタンを押し、素早くこの前行われたイベントで撮った写真を表示させる。

「ふーん」


伊野ちゃんの方に向けると、伊野ちゃんがまじまじとその写真を眺めた。


「あ、本当だ。
大ちゃんも、…えと、岡本、さんでしたっけ？」

「圭人で良いですよ。

…っていうか、敬語止めません？
堅苦しい感じがして、苦手なんですよね」

圭人が提案すると、

「…ん、そうしよう！圭人！」

伊野ちゃんが嬉しそうに頷いた。

「あ、そういえば、名前は…」

「伊野尾慧。伊野ちゃんでいいよ」

「うん、よろしくね、伊野ちゃん！」


"伊野ちゃん"

この呼び方は俺だけのモノだったのに。








…って、何考えてんだ、俺。

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