拾いませんか。 [ar×in]

17話 ページ17

_____幼い頃の夢を見た。


あの日は確か、俺は小学生で、学校の帰り道だったか。
1学期が終わり、
体育以外見たくもない成績表を友達と見せ合い、
笑い、からかいあって、じゃーな！と、逃げるように走って帰る。
これが、毎学期、最終日の恒例と化している。

俺の家は、多くの友達が住んでいるマンションや住宅街とは違う所にあり、
帰り道は、学校を出てすぐの分かれ道で殆どの友達とわかれる。



一人になり、夏休みに思いを馳せていると、

「ニャー」

鳴き声のする方向を向く。

「猫、か」

顔の一部が黒い猫。
この前、某動物園的な番組で紹介されていた、
シャム猫…といっただろうか。
その猫だ。

人通りの少ない道。
ダンボールの中(毛布や、食料などは一切見つからない)に入り、
静かに鳴いていた。

その姿を見ていると、つい、拾ってしまいそうで…
胸が痛いが、覚悟を決め、ふい、とその猫から離れようとした。

「ニャー…ニャーォ…」

背中から、弱々しい鳴き声が聞こえてくる。








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気付いたら、その猫を抱き抱え、自分の家の方向へと走っていた。

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