拾いませんか。 [ar×in]

13話 ページ13

「ごめん」

暫くあの体勢のままだったが、
伊野ちゃんが落ち着いて来たのを確認し、身体をゆっくり離した。

「変なこと…聞いちゃって」

一日目から地雷踏みまくりだし、俺。
伊野ちゃんが嫌だということばかり聞いてしまう。

「…ほんと、それ。

変なことって分かってるんなら、何で聞いたのさ」

うっ…

さっきまでの伊野ちゃんが嘘かのように、
俺の心にグサグサとくる言葉を投げてくる。


「ほんっっとうにごめん！

思ってる事を口に出しちゃって…！」


どうやったら治るんだろう、この癖…









俺がそういったきり、伊野ちゃんから返事が返ってこなくなった。


沈黙が続き、忙しく鳴る、
救急車のサイレンの音が静かな部屋に響き渡る。



怒ってるかな…？






伊野ちゃんの方をちらちら見ながら、
背筋を伸ばしたり、正座したりと反省の意を体で示す。







すると



「…ぷっ！」

伊野ちゃんが吹き出した。



「ごめん、ごめん！
ちょっと意地悪しちゃったね」

明るい伊野ちゃんに戻った。

まるで、先程の伊野ちゃんとは別人の様だ。

まだ、会ってからそんなに時間は立ってないが、
時間が経てば立つほど、話せば話すほど新しい伊野ちゃんが出てくる気がした。

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